DMCA(デジタルミレニアム著作権法)をめぐって、ポール・マッカートニー、U2、テイラー・スイフトらが米雑誌上に同法の改定を求める広告をうった模様。
テイラー・スウィフト、ポール・マッカートニー、U2ら、DMCAをめぐりYouTubeと対決の姿勢
今回はそのことについて述べてみたいと思います。
コンテンツ
音楽と著作権保護との関係とは?
著作権物保護に関しては各国にいろいろな法律があるが、特にアメリカはこのデジタルミレニアム著作権法によって、より厳しい法的態度を情報発信者に対して取ることができるという。
たとえば「著作権保護技術を解除する技術的手段などを公表することも禁止」とか「著作権侵害について故意・過失が無くても罰せられる」など、他国にはない厳格さを法に保たせているようだ。(「デジタルミレニアム著作権法」より)
今回のスイフトらのミュージシャンが広告で訴えたのは、同法の改定ということだが、何をどう改定するというのは、残念ながら元記事にも詳しく触れられていないので、素人の私には分からない。
ただこうだろうという推定は載っていたので、それをまとめてみると・・・
・著作権侵害が明らかになった場合に、動画サービス提供者(動画サイト主)は問題の著作権侵害動画を削除すれば罪を問われない。(あくまで場を提供しただけという立場から)
・膨大な数に上る著作権侵害動画を削除するのは実質上不可能だとして、ミュージシャン側は動画サイト提供者に対価の支払いを求める可能性がある。
となった。要は、動画サイト(youtube)側は、
「俺たちは場所を貸し出しているだけだから、借主がそこで何をしようと、こっちの責任じゃないね」
と言っているのに対し、ミュージシャン側は、
「あんたらがちゃんと管理しないから、コピー商品が出回ってしまうんだろ!それを全部管理しろとまでは言わんから、とりあえず迷惑料払えや」
みたいな感じだろうか。
この一連のやり取りを見て、動画サイト側の言い分は、なんだか日本の店舗型風俗の「場所を貸し出しているだけで、あとは客と女の子との大人の恋愛」という言い訳と非常によく似ているなあと思ったのは、たぶん私だけではあるまい(笑)
一方のミュージシャン側の追撃は警察のそれみたいな・・・
いやいや、すいません、DMCAさん、スイフトさん、不適切なたとえで。
巻き込まれないための利用者の防御法
こうした著作権侵害とそれを取り締まるDMCAは、動画サービス提供者と発信者の二つに限られる。たとえそれが著作権を侵害している動画だったとしても、ただ見ているだけなら、何もおとがめはないのだ。今のところは。
ただ将来的には「見ているだけでも罰則の対象」となる日がくるのかもしれないという恐怖はある。ちょうど「児童ポルノ禁止法」の ”持っているだけで罰則の対象”と同じように、単純閲覧もネットによる拡散(ブログへの貼り付け、SNSによるリンク付け)も罪となって、一年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる日がくるかもしれない。
そうなると、おそらくサイバーパトロールと称して、DMCAサイバー検閲部隊が全世界の茶の間のネット空間を魚の目たこの眼で監視する日がくるかもしれないのだ。
そこまでするとコストと手間が膨大になるので、まずそんなことは実現しないと思うのだが、最近のインターネット監視技術の飛躍的な向上を見ていると、あながち自分の妄想もウソじゃないように思えてくる。
なので、もしそういう可能性のかけらを少しでも信じるのなら、某動画提供サービスでミュージシャンの動画を見るときは、
・VEVO(有力レコード会社出資のレーベル)と銘打たれたものを見る
・ミュージシャンが所属するレーベルやレコード会社の公式ものを見る
・ミュージシャン自身が発表している公式ものを見る
とすれば、まず間違いないと思われ。基本、なんでも公式ものが安全確実ということですな。まあアドセンスでもやっているのでない限り、普通に動画閲覧を楽しむ分には、ここまでする必要は全くないので(というか無意味)。
あくまで将来「DMCAサイバー検閲部隊の動きが活発化して一般視聴者の閲覧動向にまで目を光らせるようになった」という未来予測を前提にしたうえでの私の妄想なので、あしからず。
結局どうなるの?
実際のところ、ミュージシャンやレーベルの訴えはどこまで聞き入れられるのだろう?リンク記事では、定額ストリーミングサービスがしているように、動画提供サービスがミュージシャン側に正当な対価を支払うべき、と書いてあったが、それというのは、一定額さえ払えば多少の不利益(著作権侵害)は見逃してやるということを意味するのか?
それとも不利益(著作権侵害)が生じるたびに、動画提供サービス側が何らかのお金(たぶん賠償金みたいなもの?)をその都度ミュージシャンやレーベルに支払うという形になるのだろうか?
もし後者だと莫大な額になるだろうから、やっぱり一定額で不利益スルーが妥当か。
あまりひどいのは、これまでどおりに申告→削除という感じだろうから、結局落ち着くところに落ち着くのだろうと思う。(つまり記事リンク元さんが言ってた「正当な対価を支払う」というやつ)
よくわかる音楽著作権ビジネス 基礎編 4th Edition
テイラーもそうだけど、表に出てるミュージシャンの顔ぶれは、どれも「意識高い系」で、しかもバックに資金力とか組織力が控えてそうな雰囲気があって、ちょいと政治ライクな香りがする。
U2とかポールはまだしも、テイラーはまだ全然若いのに、こういう運動に参加してるというのは、なんだか違和感を覚えるなあ。
一般視聴者からしたら、ちょっとくらい多めに見てやれよとは思うんだけど。
業界関係者としてはそうもいかないんだろうな。どうか最後まで戦って著作権を守り切ってください。
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