80年代洋楽好きの音楽・映画情報サイト

洋楽&映画メモランダム

男性シンガー

ブルース・スプリングスティーンの『ボーン・イン・ザ・USA』は愛国歌ではなかった!

2009年12月30日

1984年にリリースされた同名アルバムのシングルカット。

ビルボードチャートでは最高位9位を獲得した曲。

いかにもアメリカ最高!的なPVで、バンダナ巻いてギター片手に力強く歌うブルースの姿に当時洋楽にはまりだしていた僕はググイと心を掴まれてしまいました。

僕の中でブルースのこのビデオと似たようなイメージは、88年のガンズアンドローゼズの「パラダイス・シティ」のPVの登場まで待たねばなりません。(いかにもアメリカを思わせる雄大な楽曲だった!)

しかし!!

ブルース・スプリングスティーンのこの曲は一見、愛国歌と思われがちですが、実はその逆だったんです。

※本サイトの記事内に広告が含まれる場合があります

ボーン・イン・ザUSAはこれだ!

(以下、おおよその和訳)

死んだような街に生まれ、それなりに反抗期もあった

でもすぐに打ちのめされて、隠れるようにして生きてきた

アメリカに生まれた

俺はアメリカに生まれた

故郷でもめ事を起こした俺は、銃を持たされて外国に送られたのさ

黄色い人たちを撃つために

アメリカに生まれた

俺はアメリカに生まれた

帰国して製油所で職を求めるも相手にされない

退役軍人省に行っても無視されるだけ

ベトナム時代の戦友は死に、べトコンは生き残った

刑務所で鬱になり、故郷を追い出されて、あちこちをさまよった

いったい俺はどこへ行けばいいのか

俺はアメリカに生まれた時代遅れの親父

アメリカで生まれたいかしたロック親父なのさ


Bruce Springsteen - Born in the U.S.A.

かなり意訳しましたが、およそこういう感じかと思います。

ブルース自身は様々な理由でベトナム戦争には徴兵されなかったようですが、周囲にいたベトナム帰還兵からの実際の体験談と、ブルーワーカーだった父親(トラック運転手)から得た労働倫理感、敬虔なカトリック教徒だった母親からの精神的影響などが合わさって、この歌の体制側への強烈な皮肉を込めた歌詞が生まれたのかもしれません。

キッドロックとの対比

今ではブルースと言えば、この「ボーン・イン・ザ・USA」であり、アメリカ礼賛の歌と思われて、共和党の立候補者の選挙ソングに利用されたこともあるようですが、歌詞を見れば分かるように、むしろ反戦の歌であり、愛国歌のパロディでもあります。

彼自身は資本家サイドの利権を代表する共和党よりも、労働者を守る立場の民主党を支持しています。

このあたりはバリバリの愛国主義者であり、共和党支持者であるキッドロックと対照的ですが、キッドロックの場合は、彼の実家が会社経営をしている裕福な出であり、いわゆる資本家サイドの環境にうまれていることから、そういう影響もあるのかと思いますね。

まとめ

こうして考えてみると、人というのは、生まれと育ちによって考え方も思想も大きく違ってくるのだなあとしみじみ感じます。

でも曲そのものは聞いてるだけで熱くなり、何か魂の奥底を揺り起こされるようで非常に好きですね。幸い歌詞が英語なので頭には何も入ってきませんが(笑)

ブルースの熱い魂が伝わる歌。

それが洋楽ファンの「ボーン・イン・ザ・USA」なのかもしれません。

[Ads]

-男性シンガー

error: Content is protected !!

Copyright© 洋楽&映画メモランダム , 2024 All Rights Reserved.