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【君の名は。感想】懐かしくも切ない気持ちになりました

2017年4月27日

昨年(2016年)8月に公開されてから大ヒットロングランを続けている「君の名は。」を超遅ればせながら観てきました。

本当は2か月前に観るつもりだったんですが、当日は満席状態で、仕方なく別の映画を観たということは、少し前の記事で書きました。

あまり前評判や前知識を見聞きせずにいったので、素直に「感動した」という感じでしょうか。

会えそうで会えない、いつでも会えると思っていたけど、本当はもっとずっと離れていて、会うことは叶わない・・でも・・

そんな主人公二人の関係に抱いた「言葉にできない切ない思い」が、終盤近くまで自分の心をずっと占めていて、久しぶりに「青春恋愛系映画」(?!)を見て心が強く揺れ動かされました。

こんなこと、ここ「ん十年」は全くなかったかな?

似たような感覚としては、小学生の時に観た「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「フィラデルフィア・エクスペリメント」での”時空を超えた恋愛”の爽快感とか、小学5年生の時に担任の先生が読書の時間に読んでくれた児童小説「おれがあいつであいつがおれで」で、体の中身が入れ替わった男の子と女の子の淡い恋心とか(君の名は。と同じだ!)、そんなあの頃の懐かしい思い出以来というべきでしょうか。

とにかく、噂通りに素晴らしい作品でした。

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あらすじ

糸守町という山深い田舎町で暮らす女子高生・三葉は、毎日を穏やかに過ごすが、田舎にありがちな風習や濃密な人間関係に嫌気がさし、街を出て東京に行きたいと願っていた。

それでいて神社の娘としての務めも果たし、同居する妹や祖母とも仲良く暮らしていた。

そんなある日、目覚めると、自分が全く別の人間の部屋にいることに気付く。

それは男の子。

三葉はいつの間にか「東京の男子高校生」になっていたのだ。

夢だと思いながらも、ずっと憧れていた東京生活、それも男の子の学生生活を満喫しながら、翌日目が覚めると、再び自分の体に戻っていたのだった。

一方の三葉の体には、男子高校生が移り変わる。

瀧という名の男子高校生は、自分の体が女であることに驚き、三葉と同じように狼狽しつつも、一日を過ごした。

そして朝、目覚めたときには再び元の自分に・・・

二人は遠く離れたそれぞれの空間で、突然の入れ替わりに驚き、やはり夢なのだと最初は思いつつも、やがて本当のことなのだと悟るようになると、互いの行動や思いをスマホのメールに記録として残し、自分が自分に戻った時にそれを確認するようになっていた。

そんな日々が続き、お互いがお互いを理解しはじめ、次第に好意を持つようになっていったある日、三葉の住む町に異変が起こる。

その日を境に、男子高校生の瀧は三葉の体に入れ替わることはなくなってしまったのだ。

突然に訪れた終焉。

自分でも気づかないうちに三葉に惹かれ始めていた瀧は、入れ替わりがなくなった理由を探すため、三葉が住んでいた町に旅立った。

そこで見つけたものは・・

タイムトラベルが物語の主軸だった

ここからは思い切りネタバレしてますので、まだ見てない人は要注意です。(公開から8か月も経ってるので、さすがに大丈夫だとは思いますが^^;)

まず冒頭の彗星というのでしょうか、隕石のようなものが、はるか上空から地上にめがけて落下していくシーンの美しさに見とれてしまいました。

はるか上空から雲間に向けてゆっくりと落下していくその情景だけで「こっ、これが新海作品というものか!」と目が釘付けになりましたが、それが後に地上の主人公二人の運命を大きく変えてしまうのだとは、そのときはまるで想像だにできませんでした。

その後、二人の若い男女の頭の中が入れ替わって、お互いの生活を過ごすのですが、そこで徐々に気持ちが惹かれあっていく描写も懐かしく甘酸っぱい気分にさせられます。

物語は地球に接近した隕石の落下によって大きく変わっていきます。

このあたりの時間軸はちょっと把握が難しかったかもしれません。

なにせヒロインの三葉が実は数年前に死んでいたり(隕石の落下により)、瀧が三葉と入れ替わっていたのも、3年間の時差があったのですから・・・

三葉の死によって、二人の入れ替わりはなくなってしまうのですけども、そのことが気になった瀧が彼女の住んでいた町を訪ねるところから、話は急展開を見せます。

閉鎖された町と残された巨大なクレーター。

隕石が落下して町を壊滅に導いた様子が生々しく残されていました。

ここも「えっ!」な展開でした。

まさか隕石で街が破壊されてしまうなんて、この流れのアニメで「あり得るの?」な感覚でしたから。

そのとき、瀧は自分が三葉の体として彼女と入れ替わっているとき、彼女の祖母に連れられていった神社の社でお供えしたお酒のことを思い出します。

「これはお前の半分だから」

祖母のそのときの言葉が頭に浮かび、あのお酒を飲めば何か変わるのでは?と思った瀧は、その社に向かいます。

それはかつて千年前にこの土地に墜落した隕石のクレーターの盆地にありました。

この世とあの世をつなぐ川を渡り、社の中に入った瀧は供えられた酒を飲むことで、3年前に死んだはずの三葉と時空を超えて入れ替わるのです。

よく考えると「そんなはずはないだろ!」とツッコみどころ満載な展開なのですが(お酒を飲んでタイムトラベルできること)、このときは不思議とスーッと入って来るんですね。

そして隕石が落下する以前の時間軸に戻った瀧・・・

色々あった結果(このあたりの下りはぜひ映画を!)、瀧と三葉は再び入れ替わった形で会うことができました。

このとき二人を結びつける大切な組紐、二人の思い出を記録として残していた組紐が、ここでも大切な役割を演じます。

いまだ時空が交差していない二人は、声だけでお互いの姿が見えないのだけど、確実にそこに存在する。

そして黄昏時に二人の姿ははっきり見えて、そしてまた時が過ぎれば片方が消えゆく・・・

生と死を分ける境目を表現した、美しくもはかないシーンでした。

現代で出会った二人

5年後に瀧は元の自分の生活に戻り、就職活動に走り回っていました。

ただずっと「誰かとても大切な人を捜し求めている」感覚はありました。

このあたりの「切なさ」が良かったですね~

言葉にはできないのだけど「胸に迫る思い」がすごく甘酸っぱい気分にさせてくれるといいますか。

忘れかけていたピュアな思いを年をとって再び感じたような、そんな軽く胸が締め付けられるような思い。

そんなとき、瀧は電車の窓で一人の女性を見つけます。

向かいの電車に乗った女性の面影・・

どこかで覚えている・・とても大切な人・・

そしてあの髪を結った赤い組紐・・・

瀧は確信しました。

「あの人こそ、ずっと自分の探していた人」だと。

このときは「ガッツーン!」とやられました。

そして瀧に感情移入します。「絶対に見つけるんだ!」と強く思う私。

そして街角の長い階段。

上段と下段で向かい合った二人でしたが、恥ずかしさが先行するのか、互いに声をかけられずにそのまますれ違うだけでした。

もし別人だったらどうしよう、変な人と思われたら嫌だな・・そんな思いが滝の胸中に渦巻いたに違いありません。

「そのまま通り過ぎたら、おっちゃん怒るで!」と一人勝手に思いながら、ようやく階段を登り切った瀧が、階段を降りた三葉を振り返って「あの、どこかで会ったことはありませんか!」と勇気を振り絞って尋ねたとき。

三葉も待っていたかのように「はい!」と言って振り返り、涙を流していたのでした・・・

ここは良かったですね~

長くつかえていた「深い思い」が満たされた瞬間といいますか。

同時に思い出したこと。

5年前も三葉は涙を流していたということ。

二人の体が入れ替わり始めた当初、三葉は瀧がバイト先の先輩とデートできるよう、瀧の体に替わっていたときにセッティングしていたのですね。

でも元の自分の体に戻ったときに、瀧と先輩が会ったことを知ると、なぜだか鏡の前で涙が止まりませんでした。

すでにこのとき三葉は瀧のことが好きになっていたんでしょう。(そう自分は解釈しています)

自分の脳はだませても、体をだますことはできない。

何かの本で読んだことがあります。

このときの涙は自覚していない涙でしたが、階段での最後の涙は、ようやく出会えた喜び、運命の人と再会できた安堵の涙というべきでしょうか。

このシーンで涙した人も多いと思います。

私も不覚ながら、目を滲ませていました。

三葉、よかったね・・と(涙)

最後の一番いいところをネタバレしてしまいました。未見の方、本当にすいません(涙)

映像美と音楽のすばらしさ

冒頭のシーンもそうでしたが、映像美は本当に素晴らしいものがありました。

特に自然を映し出した情景は非常に繊細でリアルで、これを観るだけでもこの映画を見た価値はあったなあと思います。

ヒロインの描写もすごく良く、特に三葉が涙を流すシーンはどれも印象深くて、もらい泣きをしてしまうくらいに心に訴えかけてくるものがありました。

主人公の瀧の心理描写や、脇役の友人や先輩が見せるさりげない優しさも人間らしくて、実写のドラマ以上に感動させられた気分です。

若い二人がお互いの大切さに気付いて惹かれあう姿、悩んだり、涙を流す姿、そんな様々な描写が、かつて自分も持っていただろう、何か忘れてしまった懐かしい気持ちを思い起こさせてくれるような数々の描写。

その部分こそが、若い世代だけでなく、自分のような中年世代や年配の方にも幅広く支持されているポイントなんだろうなあと思います。

評判の高い音楽の挿入も絶妙で、まるでミュージックビデオを見ているような爽快さがあって、「ああ、監督はこのバンドの音楽のことが本当に好きで、それをキャンバスにして作品を作っていったんだなあ」と。

監督のブログを見て書かれていたことを思い出し、音楽が映像作品にもたらす影響力の大きさを改めて実感しました。

新海誠監督の作品は昔一度だけ見たことがあるのですが(雲のむこう、約束の場所)、この作品の鑑賞を機に、ほかの有名どころもチェックしてみたいと思いますね。

まとめ

山々などの自然や神社、お祭りなど、日本の古き良き情景が美しく描かれているのも、国内外で人気を博している理由の一つかもしれません。

何度も繰り返し観に行っている人も多いようなので、内容のすばらしさもさることながら、美術的な魅力も大きいのでしょう。

日本の学生生活の描写も、他国にはない日本独特の魅力があると聞きますから、そこを見ても海外アピール満載な作品ともいえます。

いろいろな意味で心を大きく動かされた映画でした。

こんなに気持ちにさせてくれた作品は最近はあまりなかったので、やっぱり観に行ってよかったです。

もう公開は終了する劇場も多いと思いますが、まだ公開がされてる劇場を巡ってあともう一回くらいは見ておこうかなと考えてます。

そしてもちろん・・・スピンオフで二人のその後の短編などを製作してもらえれば幸いです^^


「君の名は。」予告

追記

youtubeで観てると、本当にいろいろ「君の名は。」関連の動画がありますね。

その中でもNHKの「クローズアップ現代+「想定外!?“君の名は。”メガヒットの謎」2016年11月28日 」という放送での分析内容が面白かったです。

音楽が先行して公開前の映画が話題になるあたりが「アナと雪の女王」に似てるというのも納得できましたし、解説にロックギタリストのマーティ・フリードマンさんが出ていて「この映画でこれからのアニメ映像が変わる」と述べていたりして、想像してたよりも充実した内容に「ほーお」と。

アニメ好きな若い世代だけではなくて、中高年の方が映画館に足を運んだのがメガヒットした大きな理由の一つなんだと思いますね。自分なんかもそうでしたから。

あの頃の切なくて懐かしい記憶を呼び覚ましてくれた作品というか、二人のピュアでまっすぐな思いが、大人になって世俗の垢にまみれて擦り切れてしまった自分たちの心を美しく洗い流してくれるというか・・・アニメなんだけど、なんだか心に迫ってくるんですよねえ。

これからも「君の名は。」のような”世代を越えて支持されるアニメ作品”が多く作られていくことを願ってます。

同じく「異世界への転生」「叶わぬ恋」の切なさを描いた映画レビュー↓

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