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【オブリビオン】映像の美しさに目を奪われた2時間だった!

2013年6月20日

あらゆる場面が実に美しい。

荒廃した地球と未来的建造物とのコントラスト。 

特に前半は、それらを観ているだけでも心地良い。

透明底の空中プール最高。

某有名映画レビューサイトに寄せられた、一般レビュアーの方の一文である。(正確には4文)

個人的にはこの映画の感想はこの文章レビューに帰せられるように感じるのだが、このままこれを載せて終わったのでは、単なる他人レビューのパクリブログになってしまうので、とりあえずこれ以外の、その他いろいろの個人的な鑑賞点を縷々と述べていきたいと思う。

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「オブリビオン」鑑賞レビュー

監督はジョセフ・コシンスキー。

トロン・レガシーでデビューを飾った監督による、SF近未来アクション作品である(ウィキではスリラー作品になっているようだが)

トロンを撮ったということからわかるように、映像は非常にシンプルで美しい。

監督自身がスタンフォード大学工学部機械工学デザイン科を卒業していることから、マシンや建物の構造物など、とても素晴らしく人工的に洗練されて描かれている。

この映画を観終わったとき、予想外なプロットの完成度に「きっとSF小説の原作を映画化したんだろうな」と思っていたら、調べてみると映画用に書かれたものであることが分かり、少々驚いた。

素人的には、ちゃんとしたプロの作家の書いたベストセラーでないと、しっかりした世界観が描けないみたいな感覚があったのだけれども、よく考えてみれば「スター・ウォーズ」も映画用に書かれた脚本を元に撮影されたものだから、人気ノベルでなくとも、力量のある作家が書けばそれなりの作品には仕上がるというのは当然というものなのだ。

さきほど書いた「予想外のプロットの良さ」というのは、本当に映画館で鑑賞しながら感じたことだ。予告編のトレーラーを見てもらえればわかると思うが、一見して最近はやりの、

地球外生命体が襲ってきて危機一髪!

でも俺様が最終的にぶっとばすから、地球のお前らは心配せずにポップコーンでも食べて寝てろシルブプレ!

風の分かりやすいヒーロー娯楽大作ものの匂いがプンプンしていたのだが(ストーリー的には大まかには実際その通りなのだが)、実際に見ていくと、それ以上に物語の丁寧な作りこみにほほうと感心してしまうところが多かった。

ストーリー展開の随所随所に様々な伏線を張り巡らせ、それを徐々に手繰り寄せてひも解いて事の真相が明らかになっていく様は、なかなか圧巻というべきか。

もっとも、その手の推理サスペンス映画ものほど巧緻なプロット構成が練られているわけではないので、その辺はあくまで話題のSF大作ものとしては、という前提つきだ。

なぜトムクルーズ演ずるジャックが相棒のヴィクトリアと二人きりで地球を監視しているのか、ヴィクトリアが本部と連絡を取り合うときに暗号のように口ずさむ「二人は最高のチームよ」という言葉の意味と結果、そして二人の関係が終焉を迎えたときにヴィクトリアがとった行動、さらにはジャックの脳裏にフラッシュバックする美女とその過去などなど・・・

色々と憶測してしまう伏線が映画の中に満載しているのだが、個人的に最も衝撃的だったのは、途中でジャックが砂漠地帯で出会ったもう一人の監視員と、その後だろう。

これは映画のラストに関係するのでこれ以上は述べないが、このへんの伏線の張り方には正直意表をつかれた。

意外な配役に・・・

脳裏に浮かぶ美女がだれであるかなどは、だいたい映画を見ていくうちになんとなく分かってくるものなのだし、本部から指令してくる女性とその背後の黒幕が何者であるかなども、SFものや小説をよく見ている人なら途中でピンとくるものなのだ。

しかしジャックとヴィクトリアが実は・・・・

それは先ほどのもう一人の監視員の存在にかかわってくるのだが、ジャックがいつも目にしていた二人の恋人写真が、実はリアルなヴィクトリアがかつて意図的に撮らせたものだという、男と女の微妙な機微を描いた細やかな演出に心がキュンときた。

そんなヴィクトリアを演じるのは、アンドレア・ライズボロー。

この人の顔面アップはまさに「近未来の美人」というべき機能美が画面から溢れだしておりましたね。 簡素で無駄がない。

メイクや画像処理で演出しているのだろうが、かといって無機質かというとそうでもない。 サイボーグのような人工美のなかにわずかに見え隠れする人としての危うさ。

結局、最後にはその危うさゆえに破滅してしまうのですが、それとて彼女のオリジナルが持っていた禁じられた愛による女としての哀しさだったような気がする。

英国ウィットリー・ベイで中流家庭に生まれ、17歳でインデペンデント・スクールを中退して王立演劇学校に進む。

在学中と卒業後に様々な劇やテレビドラマ、映画に出演して確固たる地位を築いているようだ。

しかし髪の毛の色を変えるとずいぶん印象がかわるもんなんだなあと。

まったく別人そのもの。いやー、女は怖いっす!

心に残る登場人物たち

トム演じるジャックの心の恋人でヒロインのオルガ・キュリレンコだ。

ダニエル・クレイグ版007の「慰めの報酬」でもヒロインを演じていた女優さん。

本作品「オブリビオン」では特に印象の残る女優さんではなかったが、最後に娘と渓谷の森で静かに暮らすシーンは、非常に心に残るものがあった。

またその時に着ていた「洗いざらしのチェック地のシャツ」が素朴な魅力を醸し出していて、なんだか心が休まる優しさが全身から溢れだしていたように思う。

私生活では、ウクライナ出身、16歳でフランスに渡ってモデルとして活躍した後、2005年に「薬指の標本」で映画デビューし、2008年に「慰めの報酬」でボンドガールに抜擢。ウクライナ語、ロシア語、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語の6か国語を操る才女のようである。

そしてモーガン・フリーマン。

「ドライビング・ミス・デイジー」で一躍世界のトップスター入りしたモーガンは、彼の出た映画で外れはないといわれるほど名脇役の重鎮としてハリウッドで広く活躍している。

本作では謎のレジスタンスのリーダーとして描かれているが、実際にその出演時間はわずか。しかし役どころの重要さは主役のトムクルーズ以上といえるかもしれない。

インディペンデンス・デイのようなクライマックスシーンでは、まさに男の中の男と言える最期を飾られたフリーマンだったが、この「あっ!」と思わせる最期と、それに至るトム・クルーズの深謀遠慮というべきか、優しさがなければ、この映画はただのお涙頂戴ヒロイックSFファンタジーに成り下がっていただろう。

このフリーマンの最後のシーンを見て、本作品をレビューする気になったといっても過言ではない。

こういう最期は好きだ。

そして憧れるのだ。

願うなら最期は笑顔で。そして「ざまあみやがれ!」と、ワインを傾けながら倒れていきたいものである。

最大の魅力は映像美

この作品の最大の特徴である近未来と自然の映像美が非常にマッチしているところ。

特にヴィクトリアとジャックが、食後のひとときを監視タワー付属のプールで過ごすシーン。

プールの外壁はすべて未来の透明な素材で作られており、はるか上空に位置する監視タワーの真下に広がる雲や大空が二人の泳ぐプールの向こう側に透けて見える。

まるで空の中で泳いでいるかのように・・・・

ほかにもタワー内部のデザインやコンピュータルームの機能美、そしてトムが操る近未来ミニヘリコプターの格好よさ。

まるでコンピューターゲームの主人公になったような感覚で、映画の画面に映し出されるヘリからの風景や流動美が男の心をくすぐる。

個人的に気に入ったのは、近未来バイク。

ヘリに収納されているジャック愛用のバイクで、真っ白な車体がまさに近未来そのものなのだ。

もともとはホンダのオフロードCRF450というオードバイを映画用に改造したよう。

こういうバイクに乗ってあちこちを駆け回ってみたい。

どこまでも限りなく走り抜けそうな気がする。

あとは土星に送る水を吸いだす「給水タンク」を防衛するドロイドも良かった。

味方のうちは非常に頼れる相棒なのですが(それでも修理すると愛想なく飛び立ってしまうところが、ジャックにも不評だったようですが)、いったん敵に回すとこれほど恐ろしいロボットはいない。

ターミネーターのアンドロイドも怖かったが、球体でどこでも飛び回れるドロイドの破壊力抜群なレーザービームは、それをはるかに上回る圧倒感があった。

トム演じるジャック

トム・クルーズのジャック役は相変わらず「トム・クルーズが演じるジャック」という感じ。以前にこのブログで「アウトロー」というトム・クルーズ主演のハードボイルド作品をレビュー記事で書いたが、あのときもたしか主人公の名前がジャックだった。ジャックが好きなんだな、トムは。

【アウトロー】鑑賞レビュー!トム・クルーズ演ずるジャック・リーチャーは最高だった!

しかしどんな映画でどんな役を演じても、トムクルーズはトムクルーズのままなトム・クルーズプロモーションムービーの批判を受けても、やっぱりこの人の出る映画は見入ってしまう。

トムやスタッフが、トム・クルーズという俳優の魅力を最大限に引き出す作品や演出を意識して選んだり作ったりしていることは確かなのだが、ほかのハリウッド俳優と比べてもアクが少なく、鑑賞に堪えうる演出を長年続けてこられている背景には、やはりトム自身の言葉と動作の明快さが、大きな要因になっているように思う。

言語障害を生来持っているといわれているトム・クルーズは、字が読めないために(現在は克服しているよう)、脚本のすべてを音で暗記するのだとか。

ゆえに音に敏感になり、自らも音を明瞭に表現しようとするのが無意識化に行われて、さらにそれが動きの端々にも影響しているのではないかと。

あのキビキビした動きとすべてにひたむきな演技が、身体的な障害のみならず、少年時代からの恵まれなかった家庭環境から生まれたものではないんじゃないかいうのは、あくまで一ファンとしての私の勝手な推測である。

レビューのまとめと映画の背景

最期の敵は映画をみるまでお楽しみなのだが、まあ途中でたいていの方は気付かれるかと思。。 しかしそれで飽きがくることはなかった。

むしろ謎は謎のまま残しておく描き方は見るものに想像する余地を与えてくれるし、私としてはそういうスタイルは嫌いではない。

ラスボスもそう。異星人スカブァもそう。

まあ見たままなんだけど。

圧倒的な映像美と丁寧に描かれたプロットと伏線の数々。

そして爽やかな最期・・・

これだけでも決して見て損はしない作品だと思う。

とにかく鑑賞後の爽快感は久々のものでした。

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