クリント・イーストウッド監督・主演作品。
はっきりいってですね・・・
感動しました
少し泣きました
というかこの映画が始まる前の予告「HINOKIO」を見てすでに半泣き状態でしたから(笑)。
コンテンツ
女性版ロッキー
上映時間が結構長いこの映画、大きく分けて前半と後半の2つに分けることができます。
前半のシンデレラストーリーは僕の想像どおり、スポ根青春感動ストーリー。
走ります!叩きます!殴ります!
ボクシングの練習風景や試合のシーンなんかは、見ている僕らにも汗や痛みが伝わってくるぐらいリアルで衝撃的です。
上腕三頭筋がプルプル、背筋がムキムキ動いちゃってます。
とにかくプロデビューを果たして試合に進んだヒラリー・スワンクが強いのなんの。
ほとんど3秒以内に相手選手をノックアウトしていくんですね。
問題の後半部
さて後半ですが、この映画はこの後半部分が非常に大事であります。
アカデミーをこの作品が取れたのも、この後半の感動ドラマがあったおかげである、といっても過言ではありません。
あまり詳しく言うとネタバレになるのでいいいませんが、前半のスポ根ドラマから一転してシリアスな展開になります。
栄光を極めたヒラリーの 「えっ?!」 と思わず叫んでしまうような出来事、そしてようやくヒラリーに心を開いたクリント・イーストウッドの哀しみと決断。
後半は本当に魅せられました。
他の映画のように扇情的な音楽と大げさな演技で観客を泣かせるのではありません。
淡々と進みながらも、なぜか引き込まれていく静かな力強さ。
黙っていても、じっとしていてもスクリーンを通して伝えることのできる心の動き。
素晴らしい。
その一言につきます。
ヒロインのヒラリーはもちろん素晴らしい。
けれども、この映画の本当の主役はクリント・イーストウッドなのではないでしょうか?
そしてモーガンフリーマン。
脇役でしたが、本当に味わいのある演技をみせてくれました。
僕にとってモーガンフリーマンは、「ドライビング・ミス・デイジー」以来、ずっと尊敬し続けてきた名優であります。
今回もクリントとヒラリーを支える元ボクサー役で出演していました。
演技の上手な俳優は「間」をとてもうまく使います。
「間」とは、言葉には出さなくても他の人に伝えることができる、もう1つの言葉のこと。
そう。
この「間」を自在に操ることのできる数少ないハリウッド俳優が、このモーガンフリーマンなのです。
頑固で熱い主人公を支える役柄をやらせてもハリウッド一のモーガンフリーマン。
役柄のために頭を刈り上げて撮影に臨んだ男の中の男。
まさにマンオブザマン!
大将、その剃り上げ頭素敵すぎまっせ!
最後に
製作秘話としては、女性ボクサー役のヒラリー・スワンクが、撮影に入る前のトレーニングで足につくったマメがつぶれて炎症を起こし、医者に「命にかかわる」とボクシングを止められていたということ。
それでもトレーナーにおぶられてジムに通い、必死でトレーニングに励んだといいます。
演技にかける熱意は本物だったんですね。
加えて、アカデミー賞授与のときのクリントのコメントが粋でした。
「ありがとう。本当にありがとう。感謝します。そこにいる、親友でもある妻に 感謝します。そして、私の母に。1993年にここに来た時はたった84歳でした。そして今夜、彼女はまたこの場にきています。まだ96歳です。 彼女の遺伝子に感謝します。」
私にその遺伝子、少しでいいから分けてほしいです。