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【スカイウォーカーの夜明け感想】パルパティーンの復活にビビった!

2019年12月22日

劇場鑑賞してきました。

42年に渡る長きに渡ったスペースサーガの最終回である今作、前評判も高かったのでかなり期待して観に行きましたよ。

映画館の電子ポスターからも分かるように、もはや敵はパルパティーンであることが明らかになってます。

映画の序盤にある斜め文字のオープニングロールにもはっきりと「パルパティーンが生きていた」的なことが書かれていて「え?いきなり最初からネタバレでいくの?」と驚いてしまいました(笑)

スカイウォーカー一家の物語でもあるスターウォーズの幕引きには、なにかと因縁の深い皇帝を復活させようという狙いがあるのでしょうか?

その目論見は・・・まずまず成功してます。

キャラ設定とか映画全体のノリに問題があったと思いますが、最後はかなり見ごたえがありました。

スターウォーズ史上に残る超ド級バトルシーンの連続です。

エンドロールも感動しました。

今回はそんな感想の記録を。

まずはバババッと悪いところを立て続けに指摘していって、続けて「ここは良かった」という流れでレビューで締めくくりたいと思います。

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まるでテーマパークの映画のようなド派手さと軽さ

アクション大作という意味では大成功だったと思います。

全編に行き渡るスペースバトルとか、最初から全力疾走するフォース戦や、ラスボスとの最後の戦いも凄まじかったですからね。

年齢が少し高めの子供と行くファミリー映画としては、ここ数年の最高のアミューズメント作品だったのではないでしょうか(無駄に人が死ぬシーンが多すぎますが)

ただ往年のスターウォーズファンからすれば、かなり微妙です。

というか、映画全体がテーマパーク化しすぎでしょう?という感じが否めません(アニメ化というべきか)

正直いって、序盤から中頃まで何度もあくびをしてましたよ(最後は目が覚めましたが)

映画館を出て家に帰る途中で思い出すシーンとか、登場人物の背景に想像を膨らませて「あのときこうだったらなあ」と寝る前に悶々とする感情とか、この作品にはあまり感じられません。

その原因は色々あるんでしょうが、ストーリーもキャラ設定も深みが無さすぎる、ということが一番です。

キャラ設定が浅すぎるのも問題

エピソード1から6まで大人も楽しめた「世の中で実際にありそうな人間模様」が新シリーズでは欠落していると思いますね。

ルークやアナキン、オビワンらが感じていた苦悩や悲しみが足りず、かつてのパルパティーンが策していた人間の悪知恵としての権謀術策がなさすぎた。(今作はカルト悪魔教団のノリに変わっていた)

レイやカイロ・レンも苦悩はあったのでしょうが、かつてのSW主要キャラに比べると「映画用に作られた、わざとらしい苦しみや悲しみ」感が強いんですよ。

前シリーズが小説の原作をモチーフにしたとすれば、この新シリーズはアニメをそのまま映画化したようなノリという感じです。

仲間内の「熱さ」がうざい

レイやフィン、ポーの3人の友情的なノリが無理やり感あり過ぎて、これは正直キツかったです。

いちいち「俺たちはチームだ!」的な価値観を相手に押し付けるノリが、無駄に熱くてウザすぎる。

そもそもシリーズ全体を通じての「人間関係の堀り下げ」が浅い上に、相手のことをすべて知ったような口をきくフィンとかポーの無駄な熱さがうっとおしいんですよ(笑)

ああいうのって、ほかのアメリカ映画でも見られますよね?

単純にあっちの文化なのでしょうかね?

あと前作で物議を醸したローズですが、今回はあの押し出し感はさすがに消えてました。

ただ基本的な「余計なお節介さ」は健在で、指揮官がレイアに味方の劣勢の報告にきたときに、ローズが「その言い方はないんじゃない?」と指摘したとき。

正直、そこは無駄な言葉のやり取りをする状況ではないと思ったのですが(レイアもとくに反応してなかったと思う)、ローズだけが無駄にかみついて、最後は指揮官に言い直させる始末。

そこはそんなに掘り下げる場面ではないだろうと。

このへんの冗長な仲間内のセリフ回しがやたらと鼻について仕方ありませんでした。

フォースが魔術化していた!

フォースのパワーが万能すぎです。

透視能力とかテレポート能力とか癒しの術とか、宇宙船を止める電撃フォースとか、もはやアベンジャーズとかドラゴンクエストの世界ですよ。

レイなんか、もう反乱軍の助けなしで一人でファースト・オーダーを倒せるでしょう?というくらいの、フォースインフレ。

ライトセーバーの振り回し方も、クラシカルな剣道スタイルから、オンラインゲームの格闘バトルみたいになってますからね。

もうオリジナルスターウォーズから相当にかけ離れた部分で映画が進んでいきます。

カイロ・レンも宇宙船なしでそこからどうやって帰るんだよ、というツッコミもしたり(墜落したデス・スターの上での戦闘のとき)、とにかくアニメ的な無茶な展開が多すぎです。

最後の戦いでも、ラスボスがすごい電撃フォースであんなことできるのだったら、ほかの宇宙船いらないんじゃないの?と突っ込んだくらい。(というか、宇宙船一つで星を破壊できる無限パワーがそもそもアニメ的だ)

余談ですが、フォースのパワーを吸い取るシーンは映画「スペースバンパイア」を思い出してしまいました。

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相手の生命エネルギーを吸い取って体が復活していくシーンは、昔見た映画そのもの。

ともかくフォースのインフレ化は、すでにエピソード3でパルパティーンが「アンリミテッド、パァーワァー!!」とメイス・ウィンドゥを窓の外に吹き飛ばしたときから始まっていると思うのですが、今作ではそれがより強烈に進化した形になっています。

そしてそれは明らかに「やりすぎ」のレベルになってました。

サーガ(英雄譚)を作り出せなかった理由

展開の無駄な速さ、キャラの設定の甘さ・・・

そのきっかけを作ったのは製作チームだけではなく、時間の問題もあると思います。

エピソード6までは始まりから終わりまで、間に10年くらいの期間を経て(1978年~2005年)、合計27年の年数がスターウォーズ世界を時空を超えたサーガに仕立て上げていました。

キャラクターの過去や内面をじっくり描く時間があったし、その間に様々なメディア媒体とかファンの間で物語を語り尽くす熟成期間ができたということですね。

いわば、ファンの心で熟成された「時間が作り上げたスターウォーズ神話」

しかし新シリーズの4年間では果たせなかった。

それは純粋に「時間が作り上げる歴史」を紡ぐ間がなかったからだと思っていますし、そこが「詰め込み過ぎのストーリー設定」につながっていくと思うんです。

本来ならフィンやポーの過去をそれとなく回想シーンで描いてみたり、ローズの家庭環境や、なぜ彼女が反乱軍に入ったのかというのを、言葉だけでなく彼女が生まれ育った星の物語の描写に絡めることで、観客にキャラクターへの一体感を深めてもらう演出があってしかるべきなのですが、それがなかった。

時間はもちろん、制作費やら俳優との出演契約やらだけでなく、お金を出しているディズニー側の意図とか「大人の事情」もあったのでしょうか?

シリーズ全体がやたらと駆け足な流れになって、キャラに感情移入できない素地を作ってしまったというのが実感です。

名言に勇気づけられた!

悪いところばかりではありません。

ここからは一気呵成に「良いところ」を取り上げていきたいと思います。

まずは「名言」。

スターウォーズといえば「心に染みる言葉」がよく出てきます。

エピソード1から6までは、主にヨーダなどのジェダイの重鎮が発した言葉に感動したことが多かったですが、今作では一般キャラのフレーズにも心を奪われました。

その一つがポーがレイやフィンらと一緒に、シス文字を解読できるかつての仲間のもとを訪ねたときのこと。

自分たち反乱軍の勝ち目がほとんどない、このまま負けてしまうのでは・・と弱音を吐いたポーに、仲間だった女性戦士がこう語ります。

「孤立してると思わせるのが敵の狙い。だけど必ず仲間はいる」

もう少し感動するほかの言葉も入っていたのですが、ポイントはこの感じです。

これは人生で勇気づけられる言葉です。

特に状況が芳しくないときに言われると、かなり心が熱くなる。

自分たちが人の道にあった「正しいこと」をしていると確信しているときに、この言葉が響くはず。

なぜなら自分がもし外にいる立場なら、内側で誰かのために悪戦苦闘している人を支持するだろうから。

ポーたちが自分たちの利益ではなく、多くの人々の幸せを願って、それを圧しようとする敵と戦い挑むからこそ、この言葉を語った女戦士はそう確信していたのでしょう。

さらに映画の最終局面で戦いを決定づける「大きな流れ」として実現するのです。

もう一つの名言は霊体化したルークによる名言です。

「恐れと戦うことが、ジェダイの宿命」

レイが自分の生まれと幻影に苦悩しているときに語る言葉です。

この言葉はジェダイだけに語るものではなくて、人間というものの本質を突いていると思います。

人は自分の心におびえ、恐れ、そこから抜け出せないまま、一生を終えていくこともある。

自分の弱き心の壁です。

これと戦い、乗り越えることで、新たな自分や世界を目にすることができる。

元ラグビー日本ヘッドコーチのエディ氏も著書でこう述べています。

「勇気とは慣れた自分を捨てること」

人は多くの場合、何をすれば良くなるのか分かっている。

しかしなかなか実行できない。

人は誰しもそんな意気地のなさを持っている。

考えること、それを実行に移すことの間には、大きな隔たりがある。

その二つの間に横たわっているのが「勇気」だと。

【ハードワーク 書評】エディ・ジョーンズ氏の熱い言葉がガンガン響いた!心に刺さった名言おすすめまとめ

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勇気を出すことは「一歩前に進む」ことなのだと。

これはルークの語った言葉に通じますね。

「恐れと戦うこと」それはすなわち「勇気をもつこと」

ジェダイだけでなく、ごく普通の人間にこそ響くはずの言葉だと思います。

過去のジェダイの声に感動!

レイがラスボスと戦う時に支えになったのが、ジェダイの先人たちです。

すべての攻撃を封じられてもはや万事休す!となったときに、無意識化で開いた霊界チャンネル

映画の序盤にレイが瞑想をして、この世にいないジェダイの先人たちとコミュニケーションをとろうとするのですが、集中力が尽きるシーンがありました。

このときのシーンがクライマックスの伏線になります。

エネルギーを奪われて意識が飛んでいるレイに、過去のジェダイたちの声が響いてきたのです。

そして彼らがレイを助け、敵に向かわせる後押しをした。

あとはネタバレになるので書きませんが、ここはなかなか感動しました。

それまでのスターウォーズの伝説の中で紡がれてきた「ジェダイ」という歴史が、ここで一つに集約された瞬間。

声の中にヨーダが混じっているのが聞こえましたが、他のジェダイは聞き分けができなかったのが残念でした。

あの声の中にヘイデン・クリステンのアナキンやユアン・マクレガーのオビワンがいれば最高だったのに・・と。

その声に押されるようにしてレイは立ち上がり、ライトセーバーを手にするのです(このシーンも見所です)

数少ないホロッときた瞬間

映画全体であまり涙腺が緩むところがなかったのですが(戦闘シーンが多すぎる)、レイアが亡くなるシーンと、C-3POが記憶を失うところは不覚にもきましたね。

まずレイアは息子のベン(カイロ・レン)の心に語り掛けることでエネルギーを使い果たし、命を終えてしまいました。

このおかげでカイロ・レンはベンに戻るきっかけを得るのですが、このときのレイアは後姿だけで倒れていくシーンで、これが無性に涙を誘った。

もともと演じていたキャリー・フィッシャーさんは3年ほど前に亡くなっており、その事実がこの残された(もしくはCGを使った)わずかなシーンと同調して感動を生んだのだと思います。

その後のベンのシーンのラストでも、レイアは歩調を合わせるようにフォースと一体化していきました。

31年に渡るスターウォーズの歴史の一つが閉じた瞬間。

本当の意味で役柄と演者が一体化した瞬間。

ホロリと涙した感動のシーンでした。

もう一つの感動を演じたのがC-3POです。

基本的に「癒しキャラ」的な存在の黄金色のアンドロイドですが、映画の中で唯一笑って言葉を聞けたキャラでもありました。

絶妙なタイミングでボケるので、とにかく笑わせてもらった。

そんなC-3POがシスの古代文字を解読するときに、過去の記憶データがすべて飛んでしまう危険がありながらも、仲間のためにその危険を冒すことにしたときです(半ば強要に近かったですが笑)。

そのときに周りにいたフィンやレイ、ポーの顔をじっと見つめて「皆さんの顔を忘れないようにしておきたいんです」といったシーン。

まさかこんなシーンで俺の涙腺が・・・と不覚にも思いつつ、涙が出てきまました。

思えば、このC-3POもファントム・メナス以来の常連キャラなんですよね。

いわばスターウォーズの顔というべき存在。

どの作品でも臆病でお間抜けぶりが目立っていましたが、ここにきてついに感動のシーンを演出するとはと驚きです。

自己犠牲への感動というのは、たとえそれがロボットでも、人の心に訴えかけてくるものがあるのでしょうね。

最後の戦闘シーンと懐かしい顔ぶれに鳥肌が立った!

そして物語のラスト。

ランド・カルジリアン率いる部隊が到着し、宇宙空間一杯に広がる船の姿は圧倒的でした。

顔ぶれも懐かしくて、ランド役の俳優さんはエピソード4~6以来だし、同じく別の俳優さんも、ルークらとともにデス・スターに突っ込んでいった反乱軍パイロットと同じ人だったと思います(31年ぶり!)

ランド・カルジリアンが久しぶりにミレニアム・ファルコンの船長に返り咲いた設定も、なかなか味があって良かった。

去年ぐらいに見た「ハン・ソロ」で、若き頃のソロがランドをからファルコンをもらったのを見てますから、余計に感慨もあります。

【ハン・ソロ 感想】若き船長の誕生物語!恋人キーラはダークサイドに墜ちたのか?

特に最後の流れはエピソード4~6のテイストが濃くて、最後のシーンにはイウォークも出てたりして、懐かしすぎる思い出復活の連続です。

戦闘シーンが多くてこれでもかこれでもか!というフォースや宇宙船バトルの連続で、ちょっと見飽きた感はありますが、その分、スターウォーズの集大成という特別感はすごかった。

ラストでレイが「スカイウォーカー」を名乗るくだりもいい締め方でしたね。

エンドロールも特別で、スタッフの名前がスクリーン中にびっしり映っていたり、エンドロール後のエンディングテーマで、スターウォーズメドレーが流れるところも、物語の締めくくりを飾るのにふさわしい素晴らしい演出だったと思います。

まとめ

フィンがレイに言おうとしていたことが最後まで明かされなかったり(レイの出生の秘密についてなのか?)、前作での泥棒キャラが出てなかったりと(DJ役のべニチオ・デル・トロ)、ちょっともやもや感が残る部分もあります。

結局、最後まで主要キャラに感情移入できなかったですし、観終わった後もしみじみ思い出すことはなく、まるでテーマパークで流れるイベント用の映像作品という感じで「ドラマ性」がほとんど感じられなかった欠点も感じました。

それでも最後のシーンでルークの育った家の前で、レイが2つの太陽を見つめているシーンは心にグッとくるものがありました。

これでスターウォーズは本当に終わったんだなという実感と切なさが、同時に胸にこみあげてきました。

最後には本当の意味でのスカイウォーカーの一族はこの世からいなくなってしまったわけですが、スカイウォーカーの魂や意志は、その後もしっかりとレイに引き継がれていくのだと思います。

そしてきっと彼女がこれからのジェダイを育成していくのでしょう。

そう思うと、レイのその後をまた知りたくなってきましたよ。

これもディズニーが仕掛けたファンへのダークサイドの誘惑なのかな(笑)

色々あるけど、やっぱりスターウォーズは最高です。

監督の皆さん、製作チームやキャストの皆さん、長い間の宇宙の旅を本当にありがとう。

最後にこの言葉で長きに渡って続いたサーガのレビューを締めくくりたいと思います。

 

May the force be with you...(フォースとともにあらんことを)

 

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