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登場人物全員が優しすぎる!「いいね!光源氏くん」レビュー!

2020年6月10日

日本の古典文学で有名な「光源氏」が現代にタイムスリップしてきたらどうなるのか?を描いた、コミック原作のドラマです。

毎週金曜日の午後11時30分放送で、NHKにて2020年4月4日から5月24日まで放送されていました。

NHKのドラマといえば去年に放送していた「これは経費で落ちません!」が自分の中で好評でしたが、それ以来あまり気に入ったドラマが同枠でなかったので、ここ最近はチェックしていませんでした。

最後まで飽きずに惹きこまれた!NHKドラマ「これは経費で落ちません」レビュー!

ところが!

この「いいね光源氏くん」は久しぶりに「いいね!」と思ったドラマで、「これは経費で~」と同じく、初回から最後まで飽きずに見続けることができました。

今回はそんなドラマの魅力と感想を伝えていきます。

タイムトラベルものは恋愛ドラマの鉄板!とはいえ・・

平安時代に紫式部が書いた恋物語「源氏物語」の主人公である光源氏が、恋の醜聞に巻き込まれて須磨に落ちようとしたところで、現代にタイムトラベルしてしまうところから始まります。

こうしたタイムトラベルものは昔から映画やドラマの鉄板ストーリーで、あまり外れたものを見たことがないですね。

時空を超えて出会った男女が結ばれるストーリー、逆に離れ離れになってしまう悲劇など、人の心を離さないロマンと哀愁に満ちた設定がタイムトラベルものという印象。

このドラマでもタイムトラベルをしてしまった光源氏が現代のOLの家にたどり着いてしまい、そこで居候生活を始めるという設定からして「ああ、二人は恋に落ちるんだな」と簡単に予想できます。

しかし!

物語はそうはシンプルに進まないのが、このドラマの面白いところ。

むしろ「こじらせ」気味のヒロインである沙織は「地味な自分に恋愛なんて無理」と思っており、それが自然と結ばれてもよいはずのイケメン源氏との関係を行ったり来たりさせる原因になるのです。

鋭いツッコミと腹の座った優しさが魅力の沙織

自分の家に突然見知らぬ公家コスプレをした男が舞い込んで「えーっ!」と驚くのは、ごくごく普通の反応です。

不審者だ!と思って警察を呼ぶのですが、その途中で可哀そうに思って結局は居候を許すことになるのですから、沙織さんは基本的には心優しい女性なのでしょう。

沙織を演じているのは「これは経費で落ちません!」で初めて知った伊藤沙莉さん。

前回は凄腕経理OLのサポート役で、どちらかといえば「のほほん」とした天真爛漫キャラだったのですが、今回は「自分に自信のない拗らせキャラ」ということで、会話の端々に鋭いツッコミ(自分にも他人にも)を入れる相方キャラに変貌しています。

前作でもツッコミはしばしばしていたのですが、今回はそこに「こじらせ感」が載ってくるので、多少の毒と鋭さを内包することになって「おお、きついな~」と関西人の自分でも感じてしまうときがあるくらいでした。

そんな沙織は居候になった光源氏に「好きになりそう」「でもなってはいけない」「好きになるべきではない人」という複雑な思いを抱いていきます。

その複雑な態度は最終回まで引きずられ、それが破られる最後の瞬間まで続くことになるのです。

光源氏と中将のイケメンぶりは反則技

一方の光源氏は千葉雄大さんという可愛らしさのある男前若手俳優さんが演じており、これがまた「のほほん」とした表情がすごく公家風で、回を重ねるごとにほっぺたが「ふくよか」でいかにも「いいとこのボンボンな貴公子」然として似合いすぎてます。

そんな「良家の貴公子風」の光源氏はとにかく「甘い物」が好きで、沙織との外出でカフェに行き、美味しいパフェを食べた時などは「ああ・・」といって和歌を詠み始めるという雅な行動を見せてくれます。

しかも元がイケメンなので、公家の衣装代わりに着ているニットの帽子やジャージが似合いすぎて、カフェにいる女性のお客さんが「キャー」と黄色い声を上げるほどです(普通なら、かなりおかしい人なんですけどね笑)

そんな光源氏の後を追うようにタイムトラベルしてきた源氏の親友であり恋のライバルである中将も、これまたひけをとらぬイケメンぶりです。

それも「ぽわん」としたイケメンの光源氏とは違って、いかにも「できる男」風のシュッとしたイケメンぶり。

中将を演じるのは桐山漣さん。

この俳優さんも沙織役の女優さんと同じく「これは経費で落ちません」でやり手の営業マンを演じていた人。

二人とも前回ドラマで顔なじみなので、それがまたこのドラマに親近感を湧かせてくれた理由の一つかもしれませんね。

そんなイケメン貴公子二人が現代に迷い込み、かたやOLの一人暮らしの家に居候、もう片方はホストの家に居候してホストクラブで働くというのですから、なかなかな「ヒモ」ぶりですね。

現代でも女性を泣かしていくのでしょうか?

恋に落ちるべきか否か?

先ほど述べたように、沙織は魅力的な光源氏に確実に心を惹かれていきます。

でも彼はこの世界の住人ではなく、小説世界では多くの女性を妻として同居する価値観の異なる人。

なので沙織は常に自分を戒めます。「この人はいずれ元いた世界に帰る人なんだ」と。

物語の終盤で光源氏との関係に終止符を打つことにした沙織に(彼を元の世界に戻す)、男女関係では経験値の高い妹が「おねえは自分に嘘をつきすぎなんだよ。好きなら好きっていえばいいのよ」とアドバイスしますが、沙織はそれを受け付けることがありませんでした。

「タイムトラベルで仕方なく現代に迷い込んだ人間を、その弱みに付け込んで一緒になるのは卑怯だ」という気持ち。

きっと沙織は「曲がったことをしたくない人」「物事の区別をはっきりしたい人」なんだと思います。

気弱そうに見えつつも、時折見せる意思の強い眼差し。

これが沙織の良さであり、彼女の「正々堂々と生きていきたい」人生観の表れなんでしょう。

嘘の理由で会社を休むのにかなり気を使っていたことも、そういう彼女の気分の表れですし、誘われていった婚活パーティーで話しかけてきた男性に「私はあなたのような立派な人に見合う女じゃない」と離れていったこともそう。

不器用で自分を変えられない、まっすぐな人。

そんな沙織の「要領よく生きられない」まっすぐな性格に、ドラマを見た彼女に似た多くの人が強くシンパシーを抱いたことだと思いますね(私もその一人です)

実は悩んでいた中将

光源氏の後を追うように現代にタイムスリップしてきた中将。

源氏の義兄ということで、平安の世でも親しくいたということですが、実は心の中では複雑な思いを抱いていたのです。

それは、

「自分はしょせん、光源氏の引き立て役なのではないか?」

という思いです。

源氏物語を読んだことがないので、その世界での光源氏と中将の関係性は分からないのですが、きっと天真爛漫な源氏を眩しく思う中将の姿が描かれていたのかもしれません。

実際にドラマの最終回で京都にある源氏物語記念館のようなところに行ったとき、登場人物の設定が展示されていたシーンでそんな中将の長年の鬱屈した思いが爆発したのでした。

紫式部が書いた物語の主人公である光源氏の設定は詳しく書かれていたのだけど、中将に関しては名前しか記されていなかったこと、自分が実在の人物ですらなかったということ(あくまで架空の物語の登場人物)・・・

自分はいったい何なのか?

その疑問が胸の中にもたげた時、中将は一つの決断をしたのでした。「元の世界には戻らない」と。

この世界に残り、自分というものの存在意義を確認したいという強い思い。

このときすでにタイムトラベルができる方法が分かっていて(命の危険にさらされると次元の扉が開いて過去に戻る)、光源氏は戻る気満々でいたのですが、中将のこの発言を聞いて「なぜじゃ!私はそなたを親しき友だと思っておる。そなたと戻らなければ意味がない」と説得します。

でも彼は「引き立て役」に甘んじる立場に長年いて、自分の存在意義を失いかけていたものの気持ちを理解できていなかったのです。

それは沙織に対しても同じでした。

元の世界で多くの愛する女性と暮らしながらも、彼女らがどのようにその状態を思っているのかを考えないこと(この部分は時代が違うことや、当時の習慣や社会環境もあるので現代の価値に当てはめるべきではないと思った)、中将への態度など「恵まれないもの」への配慮がなさすぎるということです。

ここはドラマの最終回で描かれていた部分ですが、実は最も重要で「人としてどうあるべきか?」を深く考えさせられる場面だったなと思います。

それでも最後は心地よく終わった!

ドラマの大半は平安の過去からタイムトリップしてきたイケメン公家二人が、現代女子と一緒に生活したり、時間を過ごす中で遭遇する「過去と現代とのギャップ」や、それを面白おかしく描いたハートウォーミングなストーリーなのですが、最後の部分だけかなり濃い展開になっていました。

ただ沙織は決して光源氏のことを嫌いになったわけではありません。

ただ自分に素直になりたかったこと、自分の生き方は不器用だけど、それもまた私自身なんだと心を決めたこと。

それが最後の「光源氏を元の世界に戻す」行為につながるのです。

たとえ源氏が彼女に「ずっと一緒に暮らしたい」と求めてきたとしても。

仕方なく現代に生きざるを得ない人を無理やりにこの世界に押しとどめ、共に暮らすことのむなしさ・・それは自分自身をより傷つけることになるのでした。

それは彼女の中で決して「フェア」ではなかったのです。

ドラマの中で沙織の気持ちの置き所に困った光源氏に中将が「女性の本当の気持ちは目に表れる」とアドバイスしたとおり、光源氏を元世界に戻すと決めた時の沙織の目に迷いはありませんでした。

そして!

事前に妹やフィリップ(タイムトラベルの原因を突き止めた物理学者)と示し合わせていたように、沙織は光源氏を元の世界に戻すことに成功しました。

そしてその半年後・・

光源氏は沙織のもとに戻ってきたのです。

最後の瞬間に一番行きたい場所、戻りたい場所を思い浮かべたとき、源氏の心にあったのは沙織と一緒に花火を見た景色だったとうこと・・・

そこがタイムトラベルの行き着く先だったのです。

全ての登場人物が優しい物語

そんな感動の大団円でラストを迎えた「いいね光源氏くん」でしたが、もちろん感動しましたし、続きを見たいと思いました。

その後、二人の生活はどうなっていくのか、中将はホストクラブでナンバーワンになったのか、沙織の妹とは恋人になるのか、などなど、気になる点がかなり多いですから^^

あとタイムトラベルの原理を発見したアメリカの物理学者と、彼や源氏を追う謎の白人の黒服連中の設定は「あまあま」だと思いましたね。

なんじゃあれは?と(笑)

かなり適当なやっつけ芝居でしたし、物理学者の役を厚切りジェイソンが演じているのにはずっこけてしまいましたから(笑)

タイムトラベルも「命の危険が迫った時に、その直前に行きたいと思った場所に飛ぶ」という設定もなかなかに緩いです。

これは原作の通りなんですかね?

まあでも、そうしたゆるい設定を抜きにしても、このドラマは意外に見ごたえが多かったと思います。

それはやっぱり主人公の沙織の不器用だけど、まっすぐで芯の通った純粋さ、中将の友達思いな心持ち、光源氏の天真爛漫さ、妹の意外な繊細さ、ホストのカイン君の物事にこだわらない大らかさ、などの人間模様が素敵でした。

皆が優しく、お互いを想いながらさりげなく物語が進んでいく心地よさ・・

沙織と光源氏の揺れる思いや、最後のシーンで源氏と再会した時の沙織の嬉しそうな笑顔・・・

これが全てだと思います。

若い頃の瑞々しい、懐かしい感性が蘇ってきたみたいで、見ていてすごく癒されたドラマでした。

願わくばぜひ続編を。

それまではコミック版で楽しんでおきましょう^^

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