氷室京介さんの最後のライブ「Last Gigs」の感想を書いた記事のアクセスがずっと続いていて「ライブの感想といっても、あくまでニュース記事の解説とか所感なのに、なんだか悪いなあ・・」と、せっかく来ていただいたファンの方には有り難いやら、申し訳ないやらの日々を送っております。
そしてこのブログはあくまで洋楽ブログなので、これ以上、邦楽ネタを続けるのも趣旨に反するかなあという思いもあるのですが、私の中ではボウイは限りなく洋楽に近い存在だったし、間違いなく自分の青春時代を共に歩んで、すごく大きな思い出と影響を与えてくれた存在だったので、あえて取り上げることにしております。
とはいえ、最もボウイのスタイルを体現していた氷室さんも引退したし、最近はボウイもめっきり耳にしていない上に、布袋さんや松井さん、高橋さんの音楽にも触れることがないので、今日の記事を最後にボウイ関係のネタを取り上げるのは最後にしようかとも考えていますね。(ボウイ復活!とか、氷室さんと布袋さんの電撃仲直り宣言!とかみたいなニュースが上がれば別ですが・・)
そんな感じで、今回取り上げるのは、昔懐かしいボウイ時代の本と、解散以降のメンバーの自伝本です。(読んだ時期の順番に書いてます)
大きなビートの木の下で
1986年に出版された、ボウイの唯一といっていい、公式・自伝本。
最初に見たのは、ボウイの強烈なファンだった友人の家で。
本棚にしまっているのを見つけて、「おお!」と思わず手にしてむさぼるようにして読みましたとも。
見開きにメンバーの立ち写真があって、続けてメンバーそれぞれのショット。
氷室さんは、このころからカメラが好きだったのか、写真のこちら側にカメラを向けて映ってましたね。
続けてそれぞれのメンバーの子供の頃の生い立ちから、出会いまでをメンバー主観で綴っていて、それまで彼らのプライベートや過去を知らなかった当時の僕は「おおっ!」とまた同じ驚きのうめきを絶えずあげておりました(笑)
その後に出る各メンバーの自伝本に比べれば、内容も薄いし、見栄えの良い思い出だけしか語ってないという感じはしますが、それでも見開きの写真を見れるだけでも、かなりお得なような気がします。
絶頂時だったころにでた公式バンド自伝書というところが、この本の最大の売りでしょうね。
RENDEZ‐VOUS―BOOWY写真集
これは・・いつどこで見たのかまったく覚えがない、ボウイの写真集です。
たぶん解散した頃か、そのもうちょっと後くらいに、本屋で見つけて購入したと思うのですが、その後引っ越したりしたので、今ではどこにあるのかも分からないという(涙)
内容はあまり覚えてないのですが、たしかライブでのショットや、楽屋でのくつろいだ写真のほか、アルバム制作のためにスタジオでセッションをしているときの貴重な写真があったように思います。
一番鮮明に覚えているのは、「サイコパス」か「ビートエモーション」のどちらかと思うのですが、アルバム制作でヒムロックを始めとしたメンバーが、それぞれに楽器を持って、カメラに向かってポーズをつけてるショットがあって、ヒムロックがおどけた顔でメンバーと一緒におふさけポーズを連続で決めていたやつ。
その写真の横に解説文があって「曲のタイトル決めるときに、”四十肩にはまだ早い”とか適当につけて遊んでた」みたいな内容が書かれていて、それまでソリッドでクールなイメージを持っていたヒムロックとバンドに対して、すごく意外でな一面があることを知って衝撃を受けた覚えがありますね。
あとはこの写真集だったかどうか定かではないのですが、ボウイの12月24日に行われた解散ライブのときの楽屋でのショットで、ヒムロックが疲れ切ってあごをテーブルの上に乗せていた写真も妙に印象に残って、今でもよく覚えています。
ファンなら買って損はしない写真集だと思いますね。
秘密―布袋寅泰
ご存知、布袋寅泰氏の初の自伝本。
2006年に発売された書籍ということで、これを出版時に読んだのが、つい最近のように思えてしまうというのは、自分がそれだけ年を取っているのだなあと、今日の話題とは全然関係ないところで変な感想を抱いてしまいました(苦笑)
内容は、布袋さんの出生から音楽を始めた経緯、バンド結成、ソロ活動、そして結婚して子供が生まれたときに至るまでの思い出を布袋さん主観で書かれています。
自分的にはこの本の最大の衝撃は、布袋さんのお父さんが韓国人で、しかもひょっとしたら国際的スパイだったかもしれないという、映画のような秘密でした。
布袋さんの風貌と身長が日本人離れしているというのは、見たまんまで分かるのですが、どちらかというと欧米系の血を汲んでいるのかと思っていたので・・(オランダ人のクォーターという噂もありました)
お父さんが謎の失踪を遂げるまで、家族は豊かに過ごしていたのですが、その後、貧しい生活を余儀なくされて、それがきっかけではないけれど、お母さんや妹さんを助けてあげたくて、布袋さんも本気で音楽で飯を食っていく決意をしたという感じの記述もぼんやりと覚えています。
ヒムロックとの出会いは、ネットや巷で溢れているボウイ情報と同じで特に違いはなかったように思いますね。
解散の時のあれこれも、ぼんやりと抽象的に書かれていて、「俺が悪者になればそれで済む」的な流れで、当時のあのことを締め括っていました。
あまりにも主観的というか、格好の良い記述が多すぎると、レビュアーからは辛辣な評価をもらっているようですが、あくまで布袋さん主観の自伝なんだから、これはこれでいいんじゃないでしょうか。
感動したのは、ボウイのlast gigsの時に、失踪してその後、韓国の家族の元に戻っていたお父さんが、実は東京ドームの外でライブを聞いていたという話。
そして布袋さん自身は、そのことをお父さんが亡くなった後まで知らなかったという・・
これは布袋さんがソロになって、何かの宣伝で韓国に行ったときに、従弟だという方から手紙をもらって、そこに実はお父さんはボウイ時代からの布袋さんのアルバムは全部持っていて、擦り切れるまで聞いていたということ、亡くなる前には東京ドームの最後のボウイのライブにも会場の外で聞いてたということが書かれていたといいます。
「それまで俺には親父なんか存在しないし、絶対に死ぬまで許さないと思ってたんだけど、この手紙を読んで少し気持ちが変わった」と布袋さん自身の心境の変化を綴っていました。
ボウイのあのライブは自分もCDで擦り切れるほど聞いたのだけど、それとまた違う思いで、しかもバンドメンバーのギタリストを生んだ父親がそれを会場の近くで聞いていたという事実が、単なるロックバンドの最後のライブという枠を飛び越えて、すごくドラマチックなイメージを自分の胸の中に焼き付かせてくれましたね。
ほかには山下久美子さんと一緒に暮らしていたマンションに吉川浩司も住んでいて、実家が日本料理屋だったから、包丁さばきがすごいので、部屋に呼んで魚をさばいてもらった話とかも面白かった。
そのあたりのボウイがブレイクする直前、直後の裏話は印象深かったかなあと。
ボウイ時代の知られざる過去の思い出本という意味では、レビューほどには悪くはない内容だと思います。
スネア―高橋まこと
ボウイの「原子のドラム」と称された熱い男、高橋まこと氏による自伝本です。
正直、他のメンバーのどの自伝本よりも、ボウイ時代のことやメンバーのことを正確に、そして真摯に書いている内容の本だとは思います。
つまり、これを読めば、メンバー間の関係性や、バンド内におけるそれぞれの立ち位置とかもよく分かるということ。
これもドラマーという、常にバンドの最後尾にいて、全体を俯瞰できる立ち位置にいる男にのみ可能な視点なのかもしれませんね。
本の表紙は、およそ伝説のロックバンドの元メンバーの自伝本とは思えない、素朴なイラストになってますが(学生服の高橋まことだ!)、これも彼が福島という東京から少し離れた地域に生まれて、試行錯誤を経てドラムに出会い、そして様々な経験を経て伝説のバンドのドラマーとして世に知られるようになった原点としてのイメージが、このイラストの学生服にドラムを持つ少年の意味が込められていると個人的には解釈してます。
一番印象に残っているのは、やはりボウイ解散時の人間模様でしょうか。
12月24日の解散ライブの時に、ヒムロックがステージで解散を口にする前に、ちらりと布袋を見たときのこと、そしてあのとき布袋が視線をそらさずに、首を振って解散を否定さえする素振りをしていれば、きっとヒムロックはその言葉を口に出さなかったはず・・と書いていて、暗にヒムロック自身は解散に最後まで納得がいってなかったという描写をしていたように思います。
では結局誰が解散を持ち出した真犯人なんだ?ということなのですが、もちろんそんなことは、いかに高橋まことさんとはいえ、文章で残しているわけではありません。
ただ前後の内容や、その後の各メンバーの発言や活動を見ていると、やはり布袋さん自身のクリエイティブな指向性が、ボウイというバンドの中で固定されることを嫌ったがゆえの解散なのではないかな?と自分ではとらえています。
ギターを始めたころから洋楽志向だった布袋さんが、バンドが成功してからもその根底にある海外志向を捨てきれるはずもなく、ゆえにボウイのマリオネットのシングルB面でスージークアトロの「ワイルド・ワン」のカップリングを実現させたこと・・・
高橋さん自身は解散のことは突然だったし、内心反対だったような感じを受けましたし、松井さんも同様でしょう。
ヒムロックも当然そうで、だからビートエモーションのプロモーション活動の時にも、海外で活動していた布袋さんを見て「布袋が日本にいないのなら、俺も海外で遊んでるよ」とそっぽを向いてしまったことなど・・・
そんなときに、まことさんがすでに軋みの出ていたメンバーの代わりに、積極的にプロモーション活動に出ていたということも書いていました。
言われてみれば、サイコパスのプロモーションのときの動画映像でも、布袋さんはかなり斜にかまえて発言してましたし、やはり良くも悪くも、解散のきっかけを作ったのは、布袋さんということになるのじゃないでしょうか。
ほかにも、ボウイの面接を受けたときのこととか、バンド加入後に初めて参加した湖畔での合宿のときのこと、解散後もしばらくはヒムロックと交流が続いていて、一緒によく遊んだときのこととか、釣りが好きだったヒムロックに付き合ってよくバス釣りに行ってたとか(まことさん自身だったか、松井さんだったか・・少し混同してるかもしれません)、ほとんどそのあたりのことを語らないし、表にも出さないヒムロックに変わって、オフの時の素顔の元メンバーの様子を親切に丁寧に書かれていました。
こんな感じで「ドラムは人生、スネアこそ我が命!」ともいうべき高橋まことさんは、本当に気のいいおっちゃんというイメージそのもので、元メンバーの中では一番とっつきやすそうな印象が以前からあったのですが、この本を読んで改めてそれを再認識することができましたね。
ボウイファンなら必読の自伝です。
氷室京介の自伝本
ヒムロックに関しては、本人による自伝は、知る限りは出版されていないと思います。
唯一、公式に表に出ている中で一番詳しくヒムロックのことを取り上げていると思われるのは、この本。
とはいっても、実はまだ読んだことはありません。
というのも、やはり本人による自伝ではないから。
しかしレビューを読んでみると、この本が一番真摯にヒムロックのことを取り上げているように感じますね。
ぜひ一読したい一冊。
早速私も買って読んでみます。
松井常松の自伝本
そしてベースの松井常松氏。
これもまだ未読ですが、レビューを見る限りは、評判はいまいちのようですね。
インタビュー形式ということになっていて、内容もそれほど濃いものではないようです。
メンバーのことや、解散のことに関しても、分からないとか、それでいいんじゃない?的にあっさり返答するというレビューがあって、それを基に批判してらっしゃる方もいましたが、まあ松井さんらしいというか、ステージでもほとんど語ることも動くこともない、ボウイ時代のあのまんまの印象を、そのあたりの受け答え云々でもちまして、こちらも「良くも悪くも、松井常松そのもの」という感じで、それはそれで松井さんなりの真実の回答なんじゃないかな?とも思いました。
とはいえ、実際に読んで判断したわけではないので、これも一度検証する必要あり。
ただ少し高いのが玉に瑕かな(笑)
中古でもう少し安くなったら、買ってみようと思います。
最後に
どうでしたか?
ボウイ時代の自伝と写真集、そしてその後のメンバーの書籍・・と、けっこう色々出ていましたね。
個人的にはボウイ時代のものは、どれも貴重だと思うので、中古でかなり安く出回っている今なら、ぜひそれぞれ買って秘蔵にしておくのも悪くないと思います。
元メンバーの自伝本に関しては、これも個人的には高橋まことさんのものが一番丁寧に詳しく書かれていると思うので、まずはこちらがおすすめですかね。
ただ、ほかの元メンバーのもとの読み比べて見て、初めて理解できることや発見できる内容もあると思うので、できれば全部を揃えるのが、ファンとしてはマナーかなと思うところもあります。
DVDや動画も良いですが、こういう文字媒体悪くないと思うので、興味のある人はぜひチェックしてみてください。
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