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ユアン・マクレガーの「ブラス!!」でイギリス労働者階級の悲哀を知った!

2010年2月22日

見ようと思っていたが、なかなか見れなかった映画の一つ。

レビュー等での前評判も高く、ブラスバンドの映画そのものがありそうでないことも手伝って、かなり期待して見た。

ちょうどスターウォーズにハマってた時なので、オビワン役のユアン・マクレガーが出てる作品というのもあって、これはきっと爽やかな青春映画なんだろうと踏んでいたのだ。

しかし実際は、当時のイギリス社会を描いた社会派作品だった。

想像してた音楽系スポ根ものとはかなり色合いが違う。

もちろん基本は大会に出て優勝を狙う筋書きだが、背景に描かれている当時の英国の社会問題が絡まっていて、実はかなりのシリアスな社会派ドラマだ。

舞台はイギリスの田舎町。

町の主要産業である炭鉱で働く炭鉱夫たちは、長年続くブラスバンドの練習に余念が無い。

指揮者のダニーは14もの町が集まるコンテストで優勝を狙っている。

そんな唯一の楽しみである音楽とは裏腹に、炭鉱の閉鎖の話で町はもちきりになっていた。

そして会社が開いた選挙の結果・・・・炭鉱は閉鎖された。

収入を無くし、住む家を無くし、自尊心をなくした彼らに希望はないように見えた。

炭鉱労働者たちは生活を守るために必死に抗うが、世の大きな流れ(石炭エネルギーの衰退)には逆らえない。

希望を失くしながらも、様々な試練を経て音楽で一つになった仲間達は、夢の実現のために走り続けるのだった。

最後はお決まりの大団円を迎えるに見えたが、ここで大どんでん返しがあった。

指揮者のダニーが観客に強く叫ぶ。

「炭鉱の閉鎖により我々は職を失いました。職だけではなく、生きる希望さえもなくした者もいます。皆さんはアシカやアザラシのために声を上げますが、我々のためには見向きもしません。我々はただ普通の良き市民なのにです!」

実際はもっと長いセリフだったように思う。

ただ、このあたりだけ強烈に印象に残った。

結局は団員の一人の病気も治らず、失業状態のままでエンディングを迎える。

ハッピーエンドにはおよそ程遠い作品だったが、これがリアリティというやつだろう。

経営者側と労働者のせめぎあいというよりも、経営側の一方的な首切りは、20年前の英国だけではなくて、現在の日本でも切実な問題ともいうべきだ。

中には自殺未遂するシーンも出てきて、見ていて痛ましかった。

映画の時代設定は84年ごろというが、今の日本でも充分に通用する内容だろう。

いつの世も、庶民は歯を食いしばって生き抜くしかないのだ。


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