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男子のバイブル「北斗の拳」を熱く語る!

2020年5月19日

80年代中盤から後半まで少年ジャンプに連載され、日本中のキッズの心を奪った魂のマンガ「北斗の拳」!

主人公ケンシロウを中心とした魅力あふれる拳士たちが世紀末後の荒廃した地を駆け巡り、覇を競い、愛を求めた至極の格闘系ロマン大作です!

私のように1980年代に子供時代を送った40前後の団塊ジュニア世代なら、あのときの興奮を覚えているはず!

今回はそんな永遠のハードボイルドアクション漫画への私の熱い想いをぶち語らせてもらおうと思います!

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北斗の拳を熱く語る!

久しぶりに高まった「北斗の拳」フィーバー。

なぜ学生以来の数十年間、忘れかけていた懐かしの漫画をこのブログで取り上げようと思ったのでしょうか?

少し前にヘアカットに行ったときに、待合室にあったコミックを手の取って見たのが始まりです。

総集編ではない、昔ながらの単行本コミック。

学生時代は全巻持っていたのですが、読むのに飽きて売ってしまってから20年近い再会というやつ。

「おおお、懐かしい!」

と唸りながらページをめくっていって、瞬く間に昔の感覚を取り戻していきました。

修羅の国の第三の羅将ハンのくだりで、ちょうど全シリーズでは後編にあたります。

気が付くと「次の方どうぞー」の声が聞こえて「ハッ!」と我に返り、本を本棚に戻して席に向っていきました。

その日は数十年ぶりに見た北斗の拳ワールドの余韻に浸りながら「やっぱり原哲夫さんの絵はええなあ」とあの時代の少年漫画にはあり得ないリアルなハードボイルドタッチの魅力や、ケンシロウをはじめとする主人公の魅力の思い出に浸っていたのです。

そしてその夜。

「北斗の拳について詳しくまとめた”マニアサイト”とかあるだろうか?」

と、思い、探してみることにしたのです。

あれだけの名作ならきっと多くの人がマニア的に研究しているだろう、そういうのを読めば、ウィキペディアに載ってるような通り一遍の情報以上のものが得られるかもしれない・・・

そんな考えで探し、見つけたのが、こちらのサイトです。

北斗西斗:北斗の拳を以上に研究するサイト

あるわあるわ、北斗の拳の物語の背景や登場人物の考察が山ほどザクザクとですな・・・

それも単なるファン的な「こういうのが好き」のではなくて、各キャラの人物背景を中心に、それぞれの相関関係やキャラに持たされた宿命、武術の歴史的な経緯やそれがもたらす血統的な正当性と、それがもたらした悲劇と喜び・・・

「エクセレント(素晴らしい)」

の一言でした。

あまりに心に響いたので、早速ツイッターで取り上げたほどに。

そんなマニアサイトを丹念に読み込んでいるうちに、忘れかけていたかつての「北斗の拳」への思いをふつふつと湧き上がってきたのです。

そして思いがけないノスタルジーなひとときをしばし過ごし、私は確信しました。

 

「俺のDNAには北斗の拳魂が刷り込まれている」

 

ということを!

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ラオウ最強説に感動する!

数十年ぶりにヘアカットを起点に高まった「北斗の拳」フィーバーをさらに高みに上らせてくれたのが、先ほどのサイトの情報でした。

その中でも北斗宗家の血に関する記述が秀逸だったんですね。

北斗宗家とは、北斗神拳の創始者の血族のことです。

ケンシロウはこの宗家の血を引いており、その「血」が物語後半の「修羅の国」編で重大な役割を演じます。

子供時代に読んでいるときはあまり気にも留めなかったのですが、実はこの「北斗宗家」というパワーワードが北斗の男たちのいざこざを解決するためには欠かせない要素だったんですね。

サイト管理人さんは基本的に「ラオウが最強」説をとっており、その理由も北斗宗家の血統が深く関係しているといいます。

ケンシロウ、ヒョウ:北斗宗家の正当な後継者

ラオウ、トキ、カイオウ(兄弟):北斗宗家の非嫡流

この5人の相関図が全メインストーリーの中核です。

ケンシロウヒョウが北斗宗家の正当後継者の血を引くもの。

ラオウトキ、カイオウの3兄弟は北斗宗家ではない血流のもの。

中でもカイオウは邪拳と言われる北斗琉拳を受けついでいます。

北斗琉拳は北斗神拳に対抗して創始した武術です。

北斗宗家から外された一門の宗家への「恨み」を宿して作られた経緯があるのです。

なのでその後継者であるカイオウは、北斗宗家の人間を前にすると血がたぎり、「通常以上の戦闘力を発揮する」のです。

さらに魔闘気と呼ばれる「マイナスのエネルギー」を使いこなすことで敵を魔界に陥れる武術であり、ケンシロウも最初の対決では成すすべもなく倒されたのでした。

一方でラオウは兄であるカイオウと同じ非宗家の出身なので、カイオウも「血がたぎる」ことはありません。

ラオウはケンシロウと同等かそれ以上の実力の持ち主。

ということは

・カイオウはケンシロウ(宗家の末裔)を前にすると先祖の血がたぎり、戦闘力が爆上がりする

・ラオウ(非宗家)はカイオウと同じ兄弟なので血がたぎることはない

・ラオウとケンシロウはほぼ同等の戦闘力なので、カイオウの戦闘力を爆上げしないラオウのほうが有利に戦える

という図式が成り立つわけです。

つまり「兄であるカイオウの支配する修羅の国に上陸し、民を解放する役割」を演じるにはラオウが最善ということ。

これが漫画の中でも、マニアサイトの中でも熱く語られていたことです。

さらにマニアサイトの管理人さんがラオウ最強を推す理由

「ケンシロウは怒りをエネルギーの源にするので、怒らない時は案外弱い」

といところにも「なるほどな!」と納得させられました。

かたやラオウは「いついかなる時でも相手が誰であろうと、常に圧倒的な強さをアベレージで発揮できる」ところが「最強」の名にふさわしいということなんですね。

このあたりの記述が先ほどのサイトを見て「おおおおっ!」と感銘を受けたポイントでした。

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誰かのために命を捧げた男たちの生きざまに惚れた!

次は私がマンガを通じて受けた「北斗の拳」への想いです。

北斗の拳の魅力の最大のものは「自己犠牲」でしょう。

悪党から村人を守るために身を挺して救った名もなき民。

それを見て怒ったケンシロウが正義の拳を炸裂させるシーンは、初期の段階の定番のクライマックスでした。

物語が進むにつれて、北斗や南斗の内紛や天帝を巡る争い、修羅の国での死闘、成長したリンやバットたちとの共闘など・・・

主人公ケンシロウを巡るそれぞれの登場人物の「誰かのために身を捧げた男たち」の生きざまが実に心に残りました。

・愛する女マミヤのために身を捧げた南斗の「義星」レイ

・ケンシロウとユリア、シェルター内の人を助けるために自らが核の灰を被った北斗の次兄トキ

・ユリアを深く愛していたがゆえに自らが悪党となり、ケンシロウとの対決を自ら望んだ南斗の「殉星」シン

・若き日のケンシロウの命乞いのために両眼を捧げ、後に子供たちのためにサウザーの十字陵の人柱になった南斗の「仁星」シュウ

・かつて愛した女性であり、南斗最後の将ユリアのためにラオウの前進を一手に引き留めて果てた南斗五輪星「雲」のジュウザ

・リンやケンシロウを救うためにカイオウの部下をヒョウとともに引き受けて果てた北斗琉拳の従者、黒夜叉

・記憶を失ったケンシロウのためにボルゲの拷問を受けて果てたバット(後にケンシロウの手当てを受けて復活)

他にも多くのキャラが崇高な死を遂げているのですが、とくに胸に響いた自己犠牲を遂げたキャラたちです。

中でもとくにジュウザとバットのラストが心に残りました。

南斗五輪星の一人「雲」のジュウザは作品の中でもトップレベルの人気があるキャラクターです。

物語の中での活躍自体はあまりなかったのですが、その自由奔放な性格と凄まじい強さ(ラオウすら片膝をつかせるほど実力をもつ)が多くのファンの心を掴んでいます。

しかしその自由奔放さには理由があったのです。

かつて深く愛した女性ユリアが実の妹だと知り、心の傷を負ってしまったこと。

それを忘れるがためにわざと軽薄に装っていたこと。

そんなジュウザの心を再び開かせたのは、やはりユリアでした。

謎多き南斗最後の将としてジュウザの前に姿を現したユリアが仮面を外して「私のために命を捧げてくれ」と言ったとき、ジュウザは心に決めたのです「あんただったのか・・わかった。あんたのために命を捧げよう」と(漫画ではこの時点ではユリアだとは明かされていません。後ろ姿だけ)。

そしてラオウを迎え撃ち、敵わないながらも傷を負わせて果てたジュウザ。

このときのジュウザの最後は格好良かった。

ラオウに「南斗の最後の将の正体を言え!」と秘孔を突かれて自白を強要されつつも、最後まで耐えて果てた男の中の男。

しかし皮肉なことに「自由を愛する男がここまで耐えるとは・・正体は分かった」と逆に気づかれてしまう悲しさはありつつも、それでも一人の男として「自由」でありつつ、実は「節度」を持っていた人としての態度が子供心に本当に惚れ惚れさせられたものでしたよ。

最後まで自分を貫き、誰かのために死を選ぶ潔さ。

連載当時に中学生だった自分の心にこのシーンは本当に鮮烈な印象を与えてくれました(卒業文集に「雲のように自由に生きる」と書いたほどです笑)

そして作品終盤のバットです。

ケンシロウを救うため、本当は愛する女リンをケンシロウと一緒にさせるために、敵の手にかかって死んでしまったバット。

主人公であり最強のキャラであるケンシロウは、その強さは確かに本物でありつつも、常に圧倒的な戦闘力で相手を制したとは言い難い面がありました。

その理由は先ほどにもマニアサイトの管理人さんが指摘していたように「怒りを原動力にするので、それがないときは強さが発揮されない」ということにあります。

逆にいえば怒りを覚えたときの強さはラオウすらも圧倒するほどであり、作品の後半はまさに唯一戦闘神としての存在感を発揮するわけです。

しかし作者の意地悪なのか、最後の最後で雑魚キャラ的なボルゲという悪党の前に倒されてしまう哀しさ。

記憶を失っていたとはいえ、北斗神拳の伝承者として体に叩き込んだ体術はどこにいったのか?と思わせるほどにあっさりと気絶してしまったのです。

このときも「怒れなかった」ことがケンシロウの強さを覚醒できなかったという弱点が露呈します。

最後の最後に記憶を覚醒させたのも、ボルゲに拷問をされて死んだバットを見て「怒った」から。

この辺りがいついかなるときでも圧倒的な強さを誇るラオウとの違いですね。

とはいえ覚醒したケンシロウはあっさりとボルゲを倒して、バットのもとに駆け寄ります。

瀕死の重傷を負っていたバットはもはや風前の灯。

「ケン。俺はずっとあんたを兄さんだと思っていた。俺のことを弟だって思ってくれるなら、どうか、どうか、リンと一緒になって幸せにしてくれ」

とケンシロウに懇願します。

バットは子供の頃から行動をともにするうちに、リンを好きになっていました。

しかしリンがケンシロウを慕っていたことも知っていたため、彼女への想いを押し殺して生きてきました。

このときケンシロウは愛する女性ユリアを病気で亡くして独り身。

ゆえにバットは自分の想いは押さえ、愛するリンのためにケンシロウと一緒になってほしいと願ったのです。

ケンシロウはその思いを受け止め、涙を流しながら「お前は俺の弟だった!」と言い、リンとのことを約束しました。

バットは安心して微笑み、そのまま果てたのでした・・・

バットが死んだ後、リンは愛していたケンシロウと旅立つ前に「バットの墓を守り続けます」と決意しました。

子供の頃からケンシロウと共に荒野を旅してきたリンとバット。

そんな二人だからこそ分かる、お互いの大切さ。

バットが自分の幸せのため、兄と慕うケンシロウのために身を犠牲して果てたこと。

そんなバットの思いを無にはできません。

だからこそリンは愛するケンシロウとの旅を断り、バットの墓を守り続けることを決断したのです。

このシーンを初めて読んだ時は泣きましたね。

なんて健気なんだと。

何十年とケンを慕い、愛してきたのに、最後の最後に「本当に大切な人が誰だか分かった」とケンシロウに伝えたリンの切なさと清々しい笑顔。

すべてを悟って心を決めたもののみが出せる「覚悟」に支えられた微笑みは、人の心の複雑さと優しさを同時に感じさせてくれましたし、それまでの数年間の連載で描かれてきたリンやバット、ケンシロウの交流が走馬灯のように蘇ってきた瞬間でもありました。

それを聞いたケンシロウの満足げな微笑み。

きっとリンの答えを予想していたのでしょう。

長く一緒に旅をしてきたからこそ、バットやリンの自分への思い、二人の関係性もすでに分かっていたのだと思います。

ずっと一緒だったバットを決して見放さず、人生の伴侶として選ぶであろうことも・・・(ここは推測ですが)

リンはケンのもとを離れ、バットの墓に近づきます。

するとその時、急にパーッと明るく光りました。

生き返ったことを示したのです。

「ケン!」

リンが涙を浮かべ、立ち去ったケンシロウが去った方向に顔を向けた感動の瞬間でした。

蘇生の秘孔を突いてバットの命を救ったケンシロウ。

ケンは一人旅立ちました。

亡き兄ラオウの愛馬「黒王号」に乗りながら、大空に浮かぶ亡きユリアの笑顔に向って「これで良かったんだろう?」と言葉をかけてケンシロウは微笑みかけました。

その表情はこれまでに見られなかった平穏な清々しさに満ち溢れていました。

この笑顔で「命を捧げしものたち」の魂が救われたのだ、と私は確信しています。

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ケンシロウの最後の言葉に胸が震えた!

マンガの最後はケンシロウが連載初期に戻ったように荒野に立ち、

「俺の墓標に名はいらぬ!」

の一言を放って、悪党に立ち向かう姿を見せてくれました。

その後にまるで映画のようなスタッフのエンドロールが描かれて「完」となり、ドラマティックな演出にも感動を覚えました。

ブルース・リーとマッドマックスの主人公、高倉健を合わせたキャラ設定だったにも関わらず、ケンシロウとして唯一無二の存在感がもはやファンの間で圧倒的でした。

多くの胸に響くセリフと生き様は、ただのマンガというよりも、一つの哲学書のような啓示を自分の考え方や思想に与えてくれたと思います。

漫画が終わってから30年以上経ちますが、未だに色褪せない登場人物と物語の魅力はきっとこれからもファンの心に残り続けるでしょうし、これからも多くのクリエイターに影響を与え続けるだろうと信じています。

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