アメリカの人気作家で有名シェフのアンソニー・ボーディン氏が亡くなった。
享年61歳。
死因は自殺だったという。
フランスで亡くなったとのことだ。
詳しい情報は後でまとめておくが、それにしても突然のことで驚いているし、非常に悲しくも思う。
アンソニー・ボーディン氏について
ボーディン氏といえば、ケーブルテレビのディスカバリーチャンネル「クックズ・ツアー」や「アンソニーの世界を喰らう」でファンになった元料理人で作家だった。
初めて番組で見た時は(2002年ごろ)、料理人に抱いていたきっちりしたイメージとはおよそかけ離れたアウトローというか、ヒッピー的なスタイルとルー・リードばりのハンサムな風貌そしてハードボイルドな仕草と発言に「おおおおおっ!」と一気にファンになってしまった、ということは、2年前に書いたレビュー記事でも紹介した。
それからは我が家もケーブルテレビを解約して、海外の番組を見ることもなくなったこともあって、ボーディン氏のその後の活動はネットニュース以外で知ることはなかった。
しかし昨日から上記のレビュー記事のアクセスが急激に伸びていたので「これはひょっとして・・・」と一抹の不安を抱えながら、海外のニュースを当たってみると、不安は的中していて、ボーディン氏が死去していたということを知った。
今回はそんなボーディン氏の死を悼みながら、死の原因と彼の死を悲しむ人々の声を取り上げていきたいと思います。
フランスのホテルで亡くなっていたボーディン氏
2018年6月8日、滞在中だったフランスのホテルの自室で首を吊って死んでいたのが発見されたという。
自殺だった。
海外ニュースサイトで取り上げられた内容は以下だ。
・シェフで世界的に有名な旅番組のホスト、アンソニ・ボーディンが亡くなった
・享年61歳
・CNNの自らのホスト番組「パーツ・アンノウン」の撮影のために滞在していたフランスで死去
・ボーディン氏の遺体を発見したのは、親しい友人のシェフ、エリック・リパート氏で、金曜の朝のことだったとCNNは報じている。
・死の原因は自殺だった
・CNNを始め、遺体を発見したエリック氏や元恋人のアーシア・アルジェント(イタリアの有名ホラー監督ダリオ・アルジェントの娘で女優。このブログでも紹介したことあり)が追悼のコメントを寄せている
・芸能界だけでなく、2016年に番組のエピソードに出演したオバマ大統領(当時)、トランプ大統領(ホワイトハウスを出てきた際のインタビューで)も追悼コメントを発表
・その他多数の各界著面人が追悼ツイッターを寄せている
・ボーディン氏の自殺死は、有名デザイナー、ケイト・スペード女史の自殺の翌日だった
・ケイト・スペード女史は自殺防止協会の促進活動を行っていた
(上記ワシントンポスト記事より管理者による翻訳)
ボーディン氏の死の様子だが、以下のサイトによれば、
Anthony Bourdain used the belt from his bathrobe to kill himself
・「61歳のボーディン氏は、滞在先のフランスのホテルのバスルームで首を吊って亡くなっていた」と検察のChristian de Rocquigny氏(読み方が分からなかったので原文のまま)
・同氏は「死の直前に何者かが部屋に侵入したという形跡もなく、暴力を受けた後も観られなかった」とも語っている
・現在フランスの捜査機関が、ボーディン氏の体からの薬物反応や精神状態を調査中である
以上がボーディン氏の自殺にまつわる情報で現在得られたものである。
ボーディン氏がどのような理由で自殺に至ったのかは、いまだ解明されていないが、その死が著名なデザイナーであるケイト・スペード女史の数日後ということをメディアが取り上げているのが、何かを暗示しているように思える。
Kate Spade: Death ruled suicide by medical examiner
自殺で亡くなったスペード女史が「自殺を防止する協会」に関係していたということが、皮肉というか、闇のようなものを感じるのだが・・・
彼女とボーディン氏との間に何らかの因果関係があったのだろうか?
ボーディン氏の自殺の原因は何なのだろうか?
同じ週にセレブが連続して亡くなったことで、自殺防止協会のホットラインにかかってくる電話(もしくはメール)の数が急激に増えているというのは事実のようだ。
Suicide Prevention Calls Increase After Kate Spade, Anthony Bourdain Deaths
日本でも自殺者の数が増えていると聞いたことがあるが、これも先進国の特有の現象なのだろうか。
いずれにせよ、ボーディン氏の死は多くの彼のファンを悲しませたことは確かだし、その死の原因が自殺だったということも、その悲しみを増幅しているようにも感じる(その一人が自分だ)
番組の撮影のためにホテルに滞在中だったボーディン氏なので、死の理由になるようなことはなにもないように思うのだが、年来に彼を悩ませていた何かがあったのかもしれない。
それでなくても作家を始めとするクリエーターというのは、創作活動の過程で心身を削る思いで作品を生み出しているというし、頭を使う活動ゆえか、体とのバランスを崩して精神を病みやすいということも、よく聞く話だ。
かつて1998年にエックス・ジャパンのhideが、やはりバスルームの扉のノブでタオルで首をくくって亡くなった事件があったが、不謹慎なことに、ボーディン氏の死の原因を聞いて真っ先にhideのことが頭に浮かんでしまった。
ボーディン氏は、若いころにヒッピーのようなことをしており、そのころに覚えたドラッグや喫煙などの話を、彼の自著(番組だったか)で読んだことがある。
若かりし頃のボーディン氏
ハリウッドや芸能界にはつきものといったところの、ドラッグや酒にまつわるエピソードというべきだが、ひょっとしたらボーディン氏は晩年になって若いころのドラッグの癖を取り戻してしまったのだろうか?
彼の薬物使用の状況は、現在フランスの当局が調査中とのことで、あくまで私の憶測の域を出ないのだが・・・
ボーディン氏は2016年に9年間連れ添った妻と離婚し、2017年には自身の番組「パーツ・アンノウン」で訪れたイタリア・ローマで女優のアーシア・アルジェントとのデートを目撃されている。
ウィキで確認してみると、アーシアのパートナーの欄にはボーディン氏が「2017~2018;his death」と書かれており、死の直前まで恋人関係だったことが分かる。
アーシアといえば、イタリアホラー映画界の巨匠ダリオ・アルジェントの娘さんであり、女優として同じホラー映画監督ジョージ・A・ロメロの「ランド・オブ・ザ・デッド」(2005)にもヒロインとして出演していて、ワイルドだけど綺麗な人だなとうっとりしていた覚えがある。
彼女も体中にタトゥーをしていて、その経歴を見ているとかなりパンキッシュというか、ロックンロール的な雰囲気を漂わせている生きざまで、同じ反体制派の雰囲気を纏っていて、ロック好きのボーディン氏とはウマが合ったのではないかと思う。
年の差こそ親子ほどの違いはあれ、ゴシップ記事で撮られた二人の仲睦まじい姿を見ると、お似合いだなと微笑ましくなってしまった。
そんな仕事の成功と素敵な女性との恋愛・・
すべてに上手くいっている中での自殺は、同じ男である自分にも全く理解できない。
心の闇がそうさせたのか、はたまた薬物による衝動的な行為なのか・・・
近年ではブラジリアン柔術も始めていて、大会でもトロフィーを獲得するくらいに習得に熱心だったようだ。
Photos: BJJ blue belt Anthony Bourdain wins gold at New York Open
いわば肉体的にも精神的にも健康な状態であろう氏による突然の死。
彼のファンにとってあまりにも悲しすぎる知らせだし、彼の家族や愛する人にとっては、さらに悲劇しかもたらさなかった訃報だろう。
まとめ
アンソニー・ボーディン記事のアクセス急上昇から知った、その死のニュース。
61歳というまだ早すぎる死の事実もそうだが、その死の原因があまりにも衝撃的すぎた。
誤解を恐れずに言えば、ロックを愛した(グレイトフル・デッド)ボーディン氏にとっては、安穏すぎる死よりも、破滅的な最期を迎えた方が彼の美学に合っていたといえなくもないと個人的には思う。
from: Common Dreams
もちろんファンの一人としては非常に悲しいことだし、ご家族や関係者にとっては心痛ましいことでしかないのだろうけど・・
どうか今の発言はボーディン氏を貶めるのではなく、彼のロック魂に捧げたものとして捉えてもらえれば嬉しく思う。
ボーディン氏の死後の旅が安らかなものとならんことを。
残されたご家族にも平穏な日々が訪れんことを。
追記
その後、日本のメディアでも彼の死をとりあげているものが多くあるのを知った。
その中でも最も心に響いたのが、ヤフーニュースの猿渡由紀さんの記事。
ケイト・スペードに、アンソニー・ボーディン。ハリウッドに愛されるふたりが立て続けに自殺
ボーディン氏は鬱を患っていたことを初めて知った。
彼と同じ時期に亡くなったケイト・スペード女史も同じように。
そうだったのか・・と納得した。
元気そうに見えても、人の内面というのは分からないものだ。当たり前だが。
自分の文中の発言や、先ほどの発言(薬物による死や、安穏すぎる死よりも破滅のほうが・・のくだり)は、やはり事態を知らない部外者の勝手な思い込みだったようだ。
申し訳なく思う。
ボーディン氏の魂の平穏と、彼を愛する多くの人々の心の安寧の日々が訪れることを心から祈っています。
Bourdain searches for the perfect sushi in Tokyo (Parts Unknown, Japan)