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シネイド・オコナーはアンチ教会シンガーだった?!【訃報のお知らせあり】

2016年5月18日

1990年のセカンド・アルバム「蒼い囁き」 (I Do Not Want What I Haven't Got) からのシングル・カット。

静かで心に染み入る名曲だ。

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楽曲について

もともとはプリンスのカヴァー曲だったようで、プリンスの楽曲を発表するために結成された、プリンス直営(というのか?!)のファンク・バンド「ザ・ファミリー」が1985年に発表したセルフ・タイトル・アルバム「The Family」の収録曲が、この「ナッシング・コンペアーズ・トゥー・ユー」だったらしい。

Sinead O'Connor - Nothing Compares 2 U Music Video

シネイドによってカバーされた今曲は、瞬く間に欧米のチャートを席巻し、彼女の名は全世界に響き渡った。

この曲のミュージックビデオが非常に印象的で、シネイド自身がに向かって歌い続けるというもの。

最後に涙を頬が伝うシーンで終わるが、これは歌詞に原因があったらしい。

All the flowers that you planted, Mama in the back yard, All died when you went away

ママが裏庭に植えた花は、ママがいなくなってから全て枯れてしまった

シネイドを虐待した亡き母親を思い起こしたためだとされているらしい。(ということは、ビデオ撮影中に本当に涙を流したのだろうか?)

彼女はこのビデオで、90年のMTVビデオミュージックアワードで女性アーティスト初の最優秀賞を獲得した。

繰り返される過激な言動

過激な言動で物議を醸しだすシネイドは、1990年にアメリカ会場のツアーで習慣となっていたアメリカ国家の斉唱を拒否して批判され、フランク・シナトラからも「シネイド・オコナーを米国から追い出せ」と非難を受けたほどだ。(シネイドはアイルランド出身)

また彼女は大のカトリック教会嫌いでも有名で、1992年10月「サタデー・ナイト・ライブ」の生放送中に「真の敵」だとしてローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の写真を破ったり、1999年にはキリスト教系の新興宗教団体である独立カトリック教会の「女性司祭」となって人々を驚かせた。

シネイドがカトリックを批判する大きな理由は、人種差別ではなく、教会組織で行われている幼児虐待のためだという。

このことについて(法王の写真を破ったこと)、自身カトリック教徒であるポップスターの女王マドンナは強く非難した。

「彼女の行為は教会や法王を大切に想う人たちの心を破ったのも同じ。もしカトリック教会に文句があるなら、もっと他の方法があるはずよ」 

後年(2002年)にインタビューでシネイドは、かつて行ったサタデーナイトライブでの行動について反省してるかと訊ねられると、「まさか!」と答えているから女前だ。

2003年に一旦引退を発表し音楽活動を休止していたが、2005年にレゲエのカヴァー・アルバム「スロウ・ダウン・ユア・アームズ」 (Throw Down Your Arms) で復帰。

2014年に「アイムノットボッスィー、アイムザボス」(I'm not bossy, I'm the boss)をリリース。

2016年5月には自身の回顧録が出版される予定だというから、けっこう活動しているのだ。

まとめ

以上、シネイド・オコナーの略歴と目立った行動歴を書いてきたのだけれども、この人が相当に癖のあるアーティストだということだけはよく分かった。

アメリカでアメリカ国家を謳わないとか、テレビの人気番組でローマ法王の写真を千切りにするとかなど、アメリカを世界最高と思っているアメリカ人や、ローマ法王を神の代理と考えている世界中のカトリック教徒(数億人ですよ!)を敵に回す行為はまさに怖いもの知らずだ。

国家と宗教の象徴というのは、それを大切に想う人たちにとって、ある意味神聖なものであり、それを無視したり否定するということは、そういう人たちにとって自分たちの信じるものを冒涜されたと考えるのも当然だろう。

アメリカ国家を歌わないという行為そのものは、個人の表現の自由でもあるので分かる気がしないでもないが、法王の写真を千切りするというのは、これはキリスト教社会である欧米ではかなりのタブー破りで、イスラム社会でたとえるなら、アラーの神を冒涜するのに匹敵する行為になると思う。

もっともカトリックにも、過去に教会内で幼児虐待が行われていたという事実があるために、こういうところが非難の対象にあがるんでしょうけど。

それにしてに女前すぎるぜ、シネイド姐さん。

クィーン・オブ・パンクに乾杯!

訃報のお知らせ

2023年7月26日に自宅で亡くなられていたという。

シネイドは7月26日、ロンドンにある自宅で意識がない状態で発見され、BBCによると、警察がその場で死亡を確認したという。事件性はないが、この後、検視が行われる。

U2、シネイド・オコナーを追悼

享年は56歳ということ。

まだまだこれからという年齢での訃報に驚きました。

複雑な過去をもちながらも、己の生き様を貫いて「女前」な人生を歩んできた彼女の足跡に敬意を表したいと思います。

どうか安らかに眠られんことを。

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