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【ローン・サバイバー感想】レッド・ウィング作戦を描いた実録映画レビュー!

2014年4月15日

2006年、アフガニスタンの山岳地帯でタリバンの幹部を偵察中に海軍特殊部隊ネイビーシールズを見舞った悲劇を描いた作品。

この映画は、実際に作戦に参加し、ただ一人奇跡の生還を果たした元隊員マーカス・ラトレルの手記『アフガン、たった一人の生還』を原作にしたものだ。

この奪還作戦は「レッド・ウィング作戦」と呼ばれ、悲劇の思い出とともに、米軍の戦士に深い影を落とすのだった。

レッド・ウィング作戦(Operation Red Wings)とはアフガニスタン紛争において2006年6月27日にアフガニスタン、クナル州の山岳地帯においてターリバーンに対してアメリカ海軍特殊部隊Navy SEALsが行った軍事作戦。ターリバーンの幹部殺害のために行われた作戦だったが、最終的にSEALs隊員11名と第160特殊作戦航空連隊の隊員8名の計19名が戦死するという大きな損害をだし、Navy SEALs創設以来最悪の出来事となった。(wikipedia「レッド・ウィング作戦」より)

ではレビューを始めていこう。

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あらすじ(ネタバレあり)

アフガニスタンの山中に潜伏するタリバン指導者を偵察するため、5人のシールズ隊員がヘリコプター降下。標的である指導者の偵察・補足に成功するも、村人に発見されてしまう。

口封じのために殺すか、命は助けるが木に縛りつけるか、人命尊重のためにそのまま逃がすか・・・

マーク・ウォールバーグ扮するラトレルは「民間人の殺傷はやめるべきだ!」と主張、仲間のアックスとダニーは「チーム全員が無事に生還することが最優先」として、村人の射殺を主張する。

結局はチームリーダーのマーフィーが村人を逃がすことを決定し、その後の悲劇的な逃避行につながるのであった・・・・

逃がした村人の一人に、終始シールズに敵対的な視線を投げかける青年がいたが、彼が解放後に一目散に山の斜面を身軽に降りていくシーンがあり、その描写が山中で孤軍奮闘する重装備のシールズ隊員との決定的な違いを表しているようで、何気に印象的だった。

民間人を作戦のためとはいえ、無闇に殺さないという心掛けは、人間として非常に立派なことだと思うのだが、これが戦場となると様相は一変する。

案の定、村人は(多分、斜面を駆け降りた青年)麓にいるタリバンに「米軍が山の中にいる!」と通報し、武装したタリバンが追跡を始めるのだ。

山深い地形のためか、衛星通信はなかなかつながらず、シールズ隊員たちは、敵に見つからないよう、山中を少しずつ慎重に移動しつつも、ついにタリバンに発見される。

茂みに隠れて機を窺う4人。

ラトレルの銃弾がタリバン兵の眉間を貫いた瞬間、ついに戦端の火ぶたが切って落とされた。

激しく続く銃撃戦。

最初は隊員たちも必死に応戦するが、なにせ数が違う。

厳しい訓練と実戦を積んだ4人の精鋭といえども、200人以上のタリバンはキツかった。

やがて手の指を失ったり、体のあちこちに銃弾を食らわされたりと、普通なら即座に失神ものの重傷を負う隊員たちだったが、そこは地獄の訓練に耐えた男たち。

戦場ならではのアドレナリン分泌の助けもあって、意識をもうろうとさせながらも、なんとかその場を離れることに成功する。重傷を負った仲間を抱えながら、切り立った山の斜面を飛び降り、転げて逃げた。

硬い岩で骨が折れ、皮膚が裂け、筋肉が激しく痛む。

この逃避行で何度もこの山の斜面ダイブが展開される。

圧倒的に優勢なタリバンから逃げるには、この方法しかなかったのだ。

追い込まれた野生動物が狩人の追手から逃げるかのように、皆、次々と崖を飛び降りていく・・・・そしてその都度、隊員たちは傷つき、力を失っていった。

絶え間なく続く銃撃戦と崖からのダイブ。

見ているだけで痛くなるこれらのシーンは、かつて「プライベートライアン」で見たノルマンディ上陸戦の迫真の戦場描写に負けるとも劣らない、衝撃度とリアリティがあった。

仲間が次々と倒れていき、最後に生き残ったラトレル。

瀕死の状態で山の中をさまよい、やっとの思いでたどり着いた水場。久しぶりの新鮮な水に狂喜し、飛び込み、水を口にする。そこで出会ったアフガン人は傷ついたラトレルを助け、村で保護することを決める。彼はタリバンではなく、パシュトゥーンの山の民だったのだ。

「助けを求めてきた客人は、どんな犠牲を払っても守り抜く」

それは千年以上続いたパシュトゥーンの部族に伝わる古き掟であった。誇り高い彼ら山の民は決してタリバンに屈することなく、傷つき、追われる身のアメリカ人を保護することに決めたのだ。

やがて村にタリバンが訊ねて来て、ラトレルの引き渡しを要求する。

しかしラトレルを助けたグラーブはそれを断った。

一端は引き下がるタリバンたちだったが、やがて武器を持って村に襲いかかった。

タリバンの襲撃を受けて村人は次々に倒れていき、ついにはラトレルも捕まり、狂気に満ちたタリバン兵の容赦なき乱打を受け続ける。少女の機転でなんとか危機は脱したが、すでに村はタリバンの大軍に包囲されていた。

万事休す。

しかしついにそこで救援の軍が到着する。

米軍緊急即応部隊が降り立ち、爆撃機と戦闘ヘリが空中からタリバン兵を次々と補足、撃滅していった。やがて救護されたラトレルは即応部隊員に抱えられてヘリに載せられるが、その途中、危険を冒して自分を救ってくれたパシュトゥーンの民に何度も何度も感謝の言葉をかけた。

「ありがとう!ありがとう!」

「・・・・よせよ。俺はただ村の掟に従ったまでさ・・・」

とは言わなかったが、ラトレルの言葉に黙って頷くパシュトゥーンの男の目は優しく、そして誇りに満ちていた。

ラトレルはグラーブの目を最後まで見つめ、そしてヘリに乗って基地に帰還したのだった・・・・

映画の感想

映画の最後に、実際に命を落とした隊員たちと生き残ったラトレル、そして彼を救ったパシュトゥーンの村人の写真が写されます。

このエンドロールが一番つらかったですね。何しろ亡くなった日付(エンドロールで示されている)が今まで見ていた映画のシーンそのものなのですから・・・

命を落とした隊員たちのなかで一番心に残ったのは、ダニーでしょうか。

通信担当であったダニーには、本国に妻がいました。

基地で待機しているとき、妻からのメールで家の内装を変えたいのだけど、何か良いデザインはある?と聞かれたダニー。それに答えようと仲間に相談したり、考えたりしているうちに、作戦が始まります。

そして来た最期の時。

銃撃戦で指を失い、幾度にもわたる崖からのダイブと被弾によって全身がボロボロになったダニーは、仲間に抱えられて、最後の崖からのダイブを試みようとしたとき、抱えていた仲間がバランスを崩してダニーを残して落下していったのでした。

崖の上で一人残されたダニーはもはや自らの力で立つこともできず、体を地面に横たえて敵の襲来を待ちます。

やがて来たタリバンはダニーの体から次々と装備を奪い、結婚指輪すらも抜き取るのでした。大量の失血で意識が朦朧とするダニーの視線の先には、顔の横に置かれたレースの見本紙がありました。

それは新しい家の壁紙の見本でした。家族との幸せな生活の全てが、そのレースの見本紙に込められていたのです。

もはや帰ってこないあの日々・・・・

ここでレッド・ウィング作戦に参加して死んだ偵察隊員を挙げておきます。

(左から)チームリーダーのマーフィー、通信担当のダニー、狙撃担当のアックス、そして主人公のラトレル。

アックスとダニーは、山の中で村人に見つかったときに、彼らを殺すべきと主張したのでした。

結局チームリーダーのマーフィーがラトレルの意見をとる形で、村人を逃がすのですが、このときの決断が彼らのその後の運命を変えたのは明らかです。

しかしそのことを責めることもなく、逃がすことに反対だったアックスとダニーは、ただひたすらに仲間を助けるために命を懸けて戦います。

精鋭隊員たるシールズの誇る鉄の結束力というべきか。

しかし同時に、戦場の現実の厳しさを見て取ったワンシーンでした。

戦場の掟

たった一度の決断が全てを決定する。それも一般社会では良識とされる判断も、戦場という命の交錯した異常空間では時には致命的な結果になるとも。

ほかにも判断一つで命を失ったシーンがあります。

シールズの司令部が、敵に追われた仲間の4人を救うために、救出部隊を組織して部隊長自らが部下を率いてヘリで現地に向かいます。

兵員を載せて戦場に赴く輸送ヘリは、必ず武装ヘリを護衛としてつけなければならないのですが、そのとき他地域の陸軍部隊の作戦にすべての武装ヘリが使われていて、空きのヘリは無かったのでした。

しかし少しでも早く部下を救出に向かいたかった部隊長の決断は「護衛の武装ヘリなしで救援に向かう」ということでした。

これが結局、悲劇を生むことになったのです。

現地に到着して、取り残された仲間のシールズを救援しようとはやる隊員たちを降下させるため、ヘリが現場上空をホバリングしたその時、眼下の山中からロケット弾がヘリに向かって打ち込まれたのでした。

チュドーーン!!

まともにRPG砲の攻撃を喰らい、ヘリは部隊長と隊員たちもろとも、空中で爆発。

残るヘリは救援は不可能と判断し、そのまま現場を離脱したのです。

こうして4人の救援は空振りに終わっただけでなく、救出に向かった無傷の隊員たちの命も失ったのでした。

護衛の武装ヘリを付けていたら状況は変わったかもしれませんが、一刻を争う救出作戦だったのですから、部隊長の判断はこれはこれで仕方なかったのかもしれません。即断即決が現場のすべてなのですから。

運命というべきか・・・

まとめ

この映画は俗にいう、アメリカ軍のプロパガンダなのかもしれません。

元来は自分たちの関係のない外国に軍を派遣し、現地の人間と戦いを展開しているというおかしさ。

現地の人間からすれば、米軍は侵略者にほかならないでしょう。

しかし現場の軍人は違います。

彼らはあくまで任務で戦場に赴き、国家の命じるままに敵と戦うだけなのです。

それが彼らの仕事であり、家族を養う手段でもあります。

ただ、そのために無辜の命を奪うことの無意味さと空しさ・・・

そのあたりは語れば尽きることがないのですが、この映画に関してはとにかく「傑作」というしか仕方がない出来栄えだったと思います。

シールズの男たちの不屈の闘志も、パシュトゥーンの民の掟も。

決して戦いから逃げないこと

この言葉が映画のすべてを物語っているのです。

最後にマーカス・ラトレル二等兵曹兵を演じたマーク・ウォールドバーグの言葉を載せておきます。

この物語を特別なものにしているのは、シールズ隊員たちの絆と友情、そして今現在世界で起きている状況なんだ。グラーブと村人たちの勇気ある行動には、心を揺さぶられた。彼らの行動に感銘を受けたのはもちろん、世界にはまだまだ希望があると思わせてくれた。


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